【インドネシア】特許審査基準改訂-医薬用途発明の審査基準の明確化
2021年08月
2016年8月26日に施行されたインドネシア特許法第4条(f)項によりますと、公知化合物の新たな用途および/又は既存の化合物の新規形態であって、有意な効能改善が認められないもの(第二用途および第二医薬用途)については、特許を受けることができないとされています。しかし、これまで新規な物質の医薬用途発明まで拒絶されることがたびたびあり、医薬用途発明の特許性の基準が不明確となっていました。
そこで、今般改訂された審査基準では、以下の通り、医薬用途発明の特許要件が明確化されました。
1.第一医薬用途発明の請求項
新規な物質の医薬用途発明(第一医薬用途発明)に係る請求項は、スイス・タイプ(例:疾患Y の治療薬の製造における化合物X の使用)、 目的限定型プロダクト・タイプ(EPC2000形式、例:疾患 Y の治療に使用されるための化合物 X)、 又は「疾患 Y の治療のための化合物 X の使用」の形式で記載する必要があります。
2.第二医薬用途発明の請求項
公知な物質の新規な医薬用途発明(第二医薬用途発明)に係る請求項は、目的限定型プロダクト・タイプ形式(EPC2000形式)で記載する必要があります。
また、新規な用途は、特定の疾病・疾患名で限定する必要があります。化合物の作用メカニズムで限定した場合、特許請求の範囲が広すぎであり不明確とされます。
そして、明細書中に、新規な用途の有意な効能改善についてのサポートが必要です。サポートの記載例として、臨床実験データ、生体外および生体内での動物実験データ、副作用の減少を示すデータ等が挙げられています。
現地代理人によりますと、出願時にそのようなデータを明細書中に記載することができなかった場合は、審査官から求められた際に実験データを提出できる準備をしておくことが望ましいようです。