【欧州】欧州特許庁(EPO)、2021年の年次統計(Patent Index)を公表
2022年07月
EPOが2021年のPatent Indexを公表しました。
https://www.epo.org/about-us/annual-reports-statistics/statistics/2021.html
1.出願件数
(1) EPOが実際に審査を行なう、欧州特許出願(European Patent Application)の件数は、2020年の新型コロナウイルス感染症パンデミックの影響から大幅に回復し、過去最高の188,600件(前年比4.5%増)となりました。
(注:本記事において、欧州特許出願の件数は、PCTルートではなく直接EPOに出願されたもの(73,530件)と、EPOへの広域段階移行手続がなされたPCT出願(115,070件)との合計を表わします。)
(2) 出願人の国・地域別件数
出願人を地域別に見てみますと、EPO加盟国からの出願が全体の44%を占め、次いで米国が25%、アジア (日本: 11%、 中国: 9%、 韓国: 5%) が25%を占めています。中国出願人による出願件数が大幅に増加した一方、日本出願人による出願件数は前年比1.2%減と、僅かに減少しました。
出願人国籍別に見た場合、出願件数が多い上位10ヶ国は下表の通りでした。
国名 | 出願件数 | 前年比 |
1.米国 | 46,533 | +5.2% |
2.ドイツ | 25,969 | +0.3% |
3.日本 | 21,681 | -1.2% |
4.中国 | 16,665 | +24.0% |
5.フランス | 10,537 | -0.7% |
6.韓国 | 9,394 | +3.4% |
7.スイス | 8,442 | +3.9% |
8.オランダ | 6,581 | +3.1% |
9.英国 | 5,627 | -1.2% |
10.スウェーデン | 4,954 | +12.0% |
(3)技術分野別出願件数
技術分野別に見た場合、出願件数が多い上位5位は:
1位 デジタル通信(15,400 件、前年比 +9.4%);
2位 医療機器(15,321 件、前年比 +0.8%);
3位 コンピューターテクノロジー(14,671 件、前年比 +9.7%);
4位 電気機械・電気装置・電気エネルギー(12,054 件、前年比 +5.7%);及び
5位 運輸(9,399 件、前年比 +4.5%)
でした。
(4) 企業別出願件数
企業別出願件数の上位10社は、下表の通りです。
企業名 | 出願件数 | 国/地域名 |
1. HUAWEI(ファーウェイ) | 3,544 | 中国 |
2. SAMSUNG(サムスン) | 3,439 | 韓国 |
3. LG(エルジー) | 2,422 | 韓国 |
4. ERICSSON(エリクソン) | 1,884 | EPO加盟国 |
5. SIEMENS(シーメンス) | 1,720 | EPO加盟国 |
6. RAYTHEON TECHNOLOGIES(レイセオン・テクノロジーズ) | 1,623 | 米国 |
7. QUALCOMM(クアルコム) | 1,534 | 米国 |
8. SONY(ソニー) | 1,465 | 日本 |
9. ROYAL PHILIPS(フィリップス) | 1,311 | EPO加盟国 |
10. ROBERT BOSCH(ロバート・ボッシュ) | 1,289 | EPO加盟国 |
2. 特許付与件数
2021年にEPOが付与した特許の件数は、108,799件(前年比18.6%減)となりました。EPOによりますと、近年の審査遅延解消・審査迅速化の結果として、2021年の特許付与件数が大きく減少したようです。
2021年に日本出願人にEPOから付与された特許の件数は、15,395件(前年比23.9%減)となり、2020年の2位から3位に後退しました。一方で、中国は2020年の6位から4位に躍進しました。
特許付与件数の上位10ヶ国は下表の通りです。
国名 | 特許付与件数 | 前年比 |
1. 米国 | 27,424 | -19.7% |
2. ドイツ | 16,507 | -17.7% |
3. 日本 | 15,395 | -23.9% |
4. 中国 | 6,864 | ±0% |
5.フランス | 6,794 | -19.1% |
6. 韓国 | 5,806 | -17.6% |
7. スイス | 3,918 | -20.0% |
8. 英国 | 3,206 | -19.9% |
9.イタリア | 3,199 | -16.1% |
10. オランダ | 2,931 | -26.0% |
3. 生産性向上
審査請求から最終処分に要した期間は平均23.0か月(2020年は23.7月)に短縮されました。一方で、異議申立から異議決定までに要した期間は、平均19.3か月(2020年は15.4か月)と、若干長くなりました。