【ブラジル】特許権の存続期間延長を含む特許法改正法案

2022年12月

特許法改正法案(2,056/2022)がブラジル議会に提出されました。まだ法案の段階ではありますが、画期的な内容を含んでいるため、ご紹介させていただきます。

1.主な改正点
①特許権存続期間延長制度の導入
現在、ブラジルには、米国の特許期間調整制度(PTA)や日本の特許権存続期間延長登録制度(PTE)はありません。特許庁の審査遅延により、特許権の存続期間が侵食された場合は、訴訟により侵食された期間の補償を求めることとなります。
今回提出された法案では、権利化の過程において、特許庁側の責による不合理な遅延が認められた場合、5年を上限として、特許権存続期間補償の請求をすることが可能となります。

②情報提供
現行法では、第三者は、「審査終了」まで、特許庁に技術的意見を提出することができるとされています。そして、「審査終了」は特許性についての最終報告(特許査定や拒絶査定)がなされた日と解されています。
改正法案では、情報提供が可能な期間の終期を、特許査定や拒絶査定等の公報掲載日までと明確化しています。

③自発補正
現行法では、自発補正は審査請求前のみ可能です。
改正法案では、自発補正は特許査定や拒絶査定等の公報掲載日まで可能となります。

④分割出願
現行法では、分割出願は審査終了前又は特許査定や拒絶査定等の特許性に関する最終報告の公報掲載30日前まで可能です。
改正法案では、分割出願は特許査定や拒絶査定等の公報掲載日から60日以内まで可能となります。

2.今後の動き
この法案が法律として成立するには、下院及び上院を通過し、大統領の署名が必要です。従って、今後、内容が修正される可能性もありますし、施行までにはしばらく時間がかかりそうです。しかし、特許権存続期間延長制度が導入されますと、実務上大きな影響があると思われますので、今後もこの法案の動向に注目していきたいと思います。