【インド】インド特許規則改正案(2023)公表

2023年09月

2023年8月22日、インド政府が特許規則改正案(2023)を公表しました。
公表後30日間を意見募集期間とし、その後、政府が内容を再度検討しますので、最終的には変更される可能性がありますが、公表された改正案の主なポイントを以下にまとめました。

1.実施報告義務の軽減
現行規則では、特許付与された次の会計年度から毎年度、年度満了後6ヶ月以内に実施報告書(Form 27)の提出が義務付けられています (規則131(2))。
改正案では、Form 27の提出は、3会計年度に1回に削減されます。
また、Form 27には、特許発明がインド国内で実施されたか否かを記載するだけでよく、インドにおける製造及び/又は輸入から生じる収益等に関する情報や、不実施の理由等の記載が不要となります。
さらに、期限を徒過した場合でも、Form 4提出と手数料の支払いにより、Form 27の提出が可能となります。

2.対応外国出願に関する情報提供義務の緩和
特許法第8条(1)は、インドで特許出願する出願人は「同一もしくは実質的に同一の」発明において、自身が外国において出願した特許出願(対応外国出願)に関する事項についてインド特許庁の審査管理官 (Controller) に陳述書を提出しなければならないと規定しています (同法第8条(1)(a))。
さらに、出願人は、インド出願の特許付与日まで対応外国出願の情報を書面でControllerに通知し続ける旨の誓約書を提出しなければならないと規定されています (同法第8条(1)(b))。
これらの陳述書・誓約書はForm 3により作成し(規則12(1))、特許出願時、または出願日から6ヶ月以内に提出しなければならなりません(規則12(1A))。この点については、変更はありません。
しかし、改正案では、特許法第8条(1)(b)で規定する、その後のForm 3の提出については、最初の審査報告(First Examination Report (FER))発行日から2ヶ月以内に1度のみ提出すればよいことになります(規則12(2)改正)。
出願人が、対応する外国出願の調査報告書や審査報告書、付与クレームに関する書類を提出する代わりに、Controllerが公的データベースにアクセスし、情報を取得することになるようです。

3.分割出願
現在は、親出願のクレームに記載事項からのみ分割出願が可能ですが、改正案では、仮出願の明細書記載事項からの分割出願も可能としています(規則13(2A) 新設)。

4.審査請求期限
審査請求期限は、現行規則では、最先の優先日から48ヶ月以内とされているところ、改正案では、最先の優先日から31ヶ月以内に短縮されます(規則24条B改正)。
この規定は、改正規則発効日以降の出願に適用され、既に出願された案件については、現行規則通り、最先の優先日から48ヶ月以内が適用されます。

5.更新手数料の割引
4年分以上の維持年金を、e-filingで前払いした場合、10パーセントの割引を受けられることとなります(規則80(3)改正)。

6.期間の延長
規則138は所定期間の延長について規定しています。しかし、現行規則では、国内段階移行期間、IPRP/IPERの補正クレーム(第19条及び第34条補正)及び付属書の翻訳文の提出、優先権書類の翻訳文、審査請求、FERへの応答期間、付与前異議申立に対する出願人による陳述書及び証拠の提出、年金支払、Controllerの指令に対するレビュー申請等については、延長対象から除外され延長できません(規則138(1))。
改正案では、これらの除外項目が削除され、上記の行為や手続きについても、最長6ヶ月の延長が可能となります(規則138(1)改正)。
尚、規則138に基づく延長手数料は、大企業の場合、1ヶ月延長毎に50,000インドルピーとなる見込みです。