「SMAP大研究」事件
その他の知的財産法解説:目次
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【著作権:資料】 参考裁判例
■「SMAP大研究」事件(東京地判平成10年10月29日)
この事件は、SMAPの生活を書いた書籍『SMAP大研究』(スマップ研究会著、鹿砦社)において、「an・an」(マガジンハウス)や「JUNON」(主婦と生活社)等の雑誌のイン タビュー記事が利用されているとして、雑誌発行元の出版社4社およびSMAPのメンバーらが、著作権侵害に基づいて、鹿砦社およびその社長に対して出版差止を請求した事件です。
東京地裁は、差止と損害賠償請求を認容しましたが、SMAPメンバー個人の請求については、SMAPメンバー個人は、インタビューの素材を提供したにすぎず著作者ではないとして請求を棄却しています。
「インタビュー等の口述を基に作成された雑誌記事等の文書については、文書作成への関与の態様及び程度により、口述者が、文書の執筆者とともに共同著作者となる場合、当該文書を二次的著作物とする原著作物の著作者であると解すべき場合、文書作成のための素材を提供したにすぎず著作者とはいえない場合などがあると考えられる。すなわち、口述した言葉を逐語的にそのまま文書化した場合や、口述内容に基づいて作成された原稿を口述者が閲読し表現を加除訂正して文書を完成させた場合など、文書としての表現の作成に口述者が創作的に関与したといえる場合には、口述者が単独又は文書執筆者と共同で当該文書の著作者になるものと解すべきである。これに対し、あらかじめ用意された質問に口述者が回答した内容が執筆者側の企画、方針等に応じて取捨選択され、執筆者により更に表現上の加除訂正等が加えられて文書が作成され、その過程において口述者が手を加えていない場合には、口述者は、文書表現の作成に創作的に関与したということはできず、単に文書作成のための素材を提供したにとどまるものであるから、文書の著作者とはならないと解すべきである。」