パロディ・モンタージュ事件 脱ゴーマニズム宣言事件

■パロディ・モンタージュ事件(最判昭和55年3月28日)

この事件では、原告の写真をパロディーとして利用した被告作品に関する著作権侵害の成否が問題となりましたが、最高裁は、「引用にあたるというためには、引用を含む著作物の表現形式上、引用して利用する側の著作物と、引用されて利用される側の著作物とを明瞭に区別して認識することができ、かつ、右両著作物の間に、前者が主、後者が従の関係と認められないというべき」であるとした上で、引用の抗弁の成立を否定しました。

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■脱ゴーマニズム宣言事件(東京高判平成12年4月25日)

この事件では、原告小林よしのりの漫画「ゴーマニズム宣言」「新・ゴーマニズム宣言」に掲載されたカットを採録し、批評を加えた被告書籍「脱ゴーマニズム宣言・小林よしのりの『慰安婦問題』」の著作権侵害該当性が問題となったが、東京高裁は以下のように述べ、引用の抗弁の成立を認め、著作権侵害を否定しました。

「Y書籍中におけるXカットの採録は、いずれもY論説の対象を明示し、その例証、資料を提示するなどして、Y論説の理解を助けるものであり、他方、各Xカットがそれ自体完結した独立の読み物となるといった事情も存しないから、引用著作物であるY論説と被引用著作物であるXカットの間には、Y論説が主、Xカットが従という関係が成立しているものと認められる」