【米国】 米国特許商標庁(USPTO)の特許審判部(PTAB)による初の特許付与後レビュー審決
2016年09月
2016年6月13日、PTABは、初の特許付与後レビュー(Post Grant Review: PGR)の審決を下し、2件の特許(U.S. Patent Nos. 8,660,888(出願日:2013年8月27日)及び8,725,557(出願日:2014年1月10日))を無効としました(American Simmental Association v. Leachman Cattle of Colorado LLC, Cases PGR2015-0003 and PGR2015-0005)。
これら事件では、牧畜業界団体である、American Simmental Association: ASAは、Leachman Cattle of Colorado 社の特許を無効にすべく、PGR 申請しました。その結果、家畜の価値評価(livestock valuation)に関する2件の特許の全クレームが101条違反である(特許適格性を有さない抽象的アイデアである)ので無効である旨の審決が下されました。
PGRは、2011年米国改正特許法(Leahy-Smith America Invents Act:AIA)により、特許無効手続として、当事者系レビュー(Inter Partes Review:IPR)と共に導入されたものです。PGRの対象は、少なくとも1つのクレームが2013年3月16日以降の有効出願日を有する特許に限定されるため、これまでの申請件数はIPRと比較して、非常に少ないものでした。
しかし、PGRは、その申請期限が特許発行日から9ヶ月の期間内に限定されているものの、新規性・進歩性の欠如はもとより、IPRでは認められていない、特許適格性(101条)違反、記載要件不備(112条:但しベストモード要件違反を除く)等の理由を申し立てることができます。今後、PGRの対象と成りうる特許件数が増えるに従い、PGRの件数も増加が見込まれます。