【インドネシア】特許法改正

2016年10月

2016年8月26日、改正インドネシア特許法が施行されました。改正インドネシア特許法は、2016年8月26日以降の出願に適用され、それ以前の出願には基本的に旧法が適用されます。

主な改正点は、次の通りです。

1.オフィスアクション応答期限の明文化

拒絶理由に対する応答期間は3ヶ月です。

最初の延長は2ヶ月、2回目の延長は1ヶ月、3回目以降の延長については、戦争、革命、内乱、ストライキ、自然災害又はその他類似の不可抗力による場合に限り、最大6ヶ月まで認められます。

2第二用途及び第二医薬用途の不特許化

公知化合物の新たな用途および既存の化合物の新規形態であって、顕著な効能改善が認められないもの(第二用途および第二医薬用途)については、特許を受けることができません。

3.コンピュータプログラムの保護対象化

旧法では、コンピュータプログラムは特許の保護対象ではありませんでしたが、改正法では、何らかの技術的効果等を有するコンピュータプログラムは特許の保護対象となります。

4.年金の支払い

特許登録された場合、出願から登録までの年数分及び翌年分の年金を、特許証発効日から6ヶ月以内に支払う必要があります。期限までに支払わない場合、特許は無効とされます。

それ以降の年金は、その翌年分の年金支払い期限の1ヶ月前までに支払わなければなりません。期限までに年金を支払わなければ、特許は失効します。ただし、期限満了の7日以上前に申請することにより、12ヶ月の猶予が可能です。この際、年金額と同額の手数料が必要です。

旧法下では、3年連続で年金を支払わなかった場合、特許が無効となりました。そこで、特許を放棄する場合に、放棄請求書を提出(取り消し請求)する代わりに、3年間年金を支払わずに特許を失効させる実務が一般に行われておりました。ところが、近年、不払いの年金が負債として残るという事態になっておりました。

改正法では、このような未払い年金が負債として扱われる問題がなくなります。

5. 特許証誤記の訂正

申請により、特許証の誤記の訂正が可能となりました。
誤記が出願人の行為に起因するものである場合は手数料が必要となります。
一方、誤記が出願人の行為に起因するものでない場合は手数料は不要です。

6.特許付与後の異議申立

旧法では、付与前の異議申立が認められていましたが、改正法では付与後の異議申立も可能となりました。申立可能な期間は、特許付与通知から9ヶ月以内です。

 7.訂正審判

特許付与通知後、3ヶ月以内であれば、特許された請求の範囲・明細書等に対する訂正審判の申請が可能です。

8.特許権侵害の例外

  1. i) 後発医薬品の製造承認申請のために医薬品を製造等することを特許権の効力の例外とする期間が、存続期間満了前2年から存続期間満了前5年に延長されました。
  2. ii) 医薬品に限り、その並行輸入が、特許権の侵害とならない事が定められました。

9. 小特許の保護対象拡大

新規な物、既存の物の改良に加え、プロセス及び既存のプロセスの改良についても小特許(日本の実用新案に該当)を受けることが可能となりました。

10.遺伝資源及び伝統的知識
発明が、遺伝資源または伝統的知識に関連する場合、当該遺伝資源または伝統的知識の起源を特許明細書に明瞭かつ正確に記載しなければなりません。

(* なお、今回の改正については、詳細な情報が十分に告知されておらず、不明な点がございます。詳細な情報が得られ次第、当所ホームページ「知財トピックス」又は「世界の特許・実用新案制度(インドネシア)」においてご案内させていただきます。)