【欧州】欧州特許のカンボジアでの有効化(validation)が発効

2018年04月

2017年4月の知財トピックスでもお知らせしましたように、欧州特許庁(EPO)とカンボジア工業手工芸省との間で、欧州特許のカンボジアでの有効化についての合意文書に署名がなされたことが2017年1月に公表されました(次のサイトご参照:https://www.saegusa-pat.co.jp/topics/3993/)。上記合意は、2017年11月にカンボジアで批准され、その後、2018年3月1日に発効しました。

これにより、2018年3月1日以降に出願された欧州特許出願(PCT経由の欧州特許出願を含む)においてカンボジアを指定でき、当該欧州特許出願について付与された欧州特許はカンボジアで有効化できるようになりました。カンボジアにおいて有効化された欧州特許には、同国において許可された国内特許と同じ権利及び法的保護が付与されることになります。

ただし、医薬品特許については事情が異なります。現在、カンボジアでは、医薬品は特許保護の対象から除外されています(カンボジア特許法第4条(iv)、同法第136条)。WTO(世界貿易機関)との取り決めで、医薬品に関する特許出願はできますが、2033年までの移行期間中は権利付与がされず、権利行使もできません。従って、この移行期間中は、欧州特許の有効化についても医薬品特許は除外されます。この点については、下記のサイトをご参照下さい。
https://www.epo.org/law-practice/legal-texts/official-journal/information-epo/archive/20180209.html

カンボジアは、欧州特許条約(EPC)の締約国(38ヶ国)・拡張国(2ヶ国)のいずれにも該当しないにもかかわらず欧州特許の有効化が可能となった国としては、モロッコ(2015年3月1日発効)、モルドバ共和国(2015年11月1日発効)、チュニジア(2017年12月1日発効)に次いで、4番目の国となりました(下記のサイトご参照)。
https://www.epo.org/about-us/foundation/validation-states.html