【インドネシア】日本とインドネシアとの特許審査ハイウェイ(PPH)試行プログラムに審査促進の期待

2018年09月

日本特許庁(JPO)とインドネシア知的財産権総局(DGIP)との間のPPH試行プログラムは、JPOとDGIPの合意に基づき、2016年6月1日から3年間の予定で開始されました。JPOで特許付与可能と判断された特許出願のインドネシア対応出願について、JPOでの審査結果を活用することにより、DGIPでの実体審査が促進され、特許取得に要する期間が短縮されることが期待されています。https://www.jpo.go.jp/system/patent/shinsa/soki/pph/japan_indonesia_highway.html

しかしながら、DGIPは、統計情報(PPHを利用した案件の特許率、PPH申請から査定までの平均期間等)を公表しておらず、PPH利用者からは、期待したほどの審査促進効果が得られないとの不満の声も聞こえていました。(AIPPI・JAPAN「海外での早期権利取得を支援する特許審査の運用に関する調査研究報告書」平成27年3月、第257~259頁)

今般、このような状況が改善されそうなニュースが届きました。複数の現地代理人によりますと、DGIPは、PPH申請日から6月以内に実体審査を完了する意向であることを通知にて表明しました。ただし、PPH申請の際に以下の要件が満たされていることが必要条件です。

1.方式要件が満たされていること(方式要件充足通知書添付のこと)
2.出願審査請求料の支払が完了していること(出願審査請求書添付のこと)
3.出願公開期間(出願公開後6月)が経過していること(出願公開通知書添付のこと)
4.実体審査の第一段階が開始されていないこと(第一段階とは、ファースト・オフィスアクションの発行)
5.PPH申請書に必要事項が記入されていること
6.PPH申請により審査されるクレームが、PPHの要件を満たしていること。すなわち、インドネシア出願のクレームの範囲が、JPOで特許付与可能と判断されたクレームの範囲と同じか狭いこと
7.JPOでの審査結果
8.JPOでの審査結果の英語及び/又はインドネシア語の翻訳文

なお、今回のDGIPの通知は、PPH申請日から6月以内の実体審査の完了を確約するものではありません。しかし、このような通知が書面で発表されたことで、今後の審査促進の期待が高まります。

*PPH申請に必要な書類につきましては、各案件に応じて現地代理人に確認いたしますので、ご相談下さい。