【インドネシア】特許実施義務履行の延期に関する施行規則-旧法下で付与された特許にも適用
2019年08月
2018年7月11日に発効した、特許実施義務履行延期申請 (以下、延期申請とする) に関する施行規則 (Ministry of Law and Human Rights Regulation No. 15 of 2018) について、インドネシア知的財産局 (DGIP) は、2016年8月26日より前に、旧法下で付与された特許にも当該規則が適用されると公表しました。
旧法下で付与された特許についての延期申請書の提出期限は、2019年8月26日です。
1. 背景
2016年8月26日に発効したインドネシア改正特許法第20条によりますと、特許権者は、インドネシア国内で、特許を受けた物を製造し又は特許を受けた方法を使用する義務を負います。特許権者がその義務を特許付与後36月以内に果たさない場合、強制実施権設定の対象となり得ます(同法第82条)。また、同法第20条違反は、裁判所決定に基づく特許取消の理由となり得ます(同法第132条)。
特許権者の実施義務を緩和する目的で、2018年7月11日に上記施行規則が施行され、延期申請が認められた場合、最長5年間、実施義務が猶予され、同法第20条に基づく強制実施権設定の対象等から除外されることとなりました。なお、当該5年の猶予期間は、再度申請書を提出し、それが認められると、延長が可能です。
詳しくは弊所知財トピックス2018年11月掲載分をご参照下さい。
https://www.saegusa-pat.co.jp/topics/5663/
また、Ministry of Law and Human Rights Regulation No. 15 of 2018の英訳については以下のURLをご参照下さい。
http://ambadar.co.id/site/wp-content/uploads/2018/11/Regulation-No-15-of-2018.pdf
2. 適用対象
しかし、上記施行規則の適用対象が明確に示されなかったため、旧法下で付与された特許にも当該規則が適用されるのか否か不明でした。
今般の公表により、旧法下で付与された特許の特許権者にも、改正特許法下で付与された特許の特許権者と同様に、実施義務があり、延長申請書を提出し、その理由が認められると、実施義務履行の延期が認められるとのDGIPの見解が明らかとなりました。
延期申請の理由として、DGIPは以下の例を挙げています。
1. インドネシア国内では資材が入手できない、または一部の資材について輸入の必要がある。
2. 製造工程において、インドネシアでは利用できない特別な技術を必要とする。
3. 製造工程に必要な特別な専門知識を持つ人材を、インドネシア国内では十分に確保できない。
4. 製造コストに見合った需要量が見込めない。
5. インドネシア国内の生産能力が不十分である。
6. 営業秘密上の理由による。