【中国】特許審査指南改訂-2019年11月1日施行
2019年12月
特許審査指南の改訂が中国国家知識産権局 (CNIPA) より公表され、2019年11月1日に施行されました。
発明特許出願に関する主な改訂点は以下の通りです。
1. 再分割出願が可能な時期の明確化
改正前の特許審査指南には、分割出願(子出願)に単一性違反が指摘された場合の、再分割出願(孫出願)が可能な時期について、明確な規定がありませんでした。
今回の改訂により、再分割出願(孫出願)の時期的要件は、単一性違反が指摘された分割出願(子出願)に基づくことが明確になりました。
2. 進歩性の判断手法の明確化
1)中国では進歩性の判断は一般に3 ステップ法により行われます。
Step 1: 最も近似する従来技術を確定する
Step 2: 発明の区別特徴および発明で実際に解決する技術的課題を確定する
Step 3: 保護を請求する発明が当業者にとって自明的であるか否かを判断する
今回の改訂では、Step 2 の技術的課題に関し、技術的課題は明細書全体ではなく、請求項に記載された発明により奏される効果に基づき特定しなければならない旨規定されました。また、機能的に相互に支持しあい、相互作用の関係にある技術的特徴についても、当該技術的特徴とこれら特徴間の関係が保護を求める発明において果した技術的効果を全体的に考慮しなければならない旨規定されました。
2)公知常識の引用
審査官は請求項における技術的課題の解決に寄与した技術的特徴を公知常識と認定した場合、原則として、これを証明するための証拠を提供しなければならないことが明文化されました。
3. 審査官との面接、電話での討論に関する制限の緩和
「第1回審査意見通知書の発送後」などの面接審査の時期的条件が削除されたため、実体審査において、必要があれば何時でも面接が可能となりました。
また、電話での討論に関する規定も緩和され、形式上の欠陥に限らず出願書類に存在する問題全般について討議が可能となりました。さらに、ビデオ会議、電子メールなどその他の方式による討議も可能となりました。
4. ヒト胚性幹細胞に係る発明
ヒト胚性幹細胞に係る発明については、「社会道徳に反する」発明であるから特許権を付与してはならないと規定されていました。
今回の改訂により、「体内での発育を経ていない受精14 日以内のヒト胚を分離又は取得した場合」については、「社会道徳に反する」ことを理由に拒絶することができないことが明確になりました。
5. 遅延審査制度の導入
審査請求と同時に遅延審査請求をすることにより、出願人は1年、2年又は3年の遅延期間を選択して遅延審査請求を行うことが可能となりました。