著作権法の保護対象である「著作物」に関しては、著作権法上、次のように定義されています。【著作権法2条1項1号】著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
著作物と認められるためには、「思想または感情」が表現されたものでなくてはなりませんが、この要件については、人間の何らかの精神的活動があればよいという程度に緩やかに考えられています。この要件によって、「東京タワーの高さは333メートル」といったような単なるデータが著作物から除外されます。
著作物と認められるためには、外部的に表現されている必要があり、表現のもとになっているアイデア自体は、著作権法では保護されません。
著作物と認められるためには、一定の創作性が必要となりますが、ここでいう創作性とは、特許の進歩性や意匠の創作非容易性のような高度の創作性が求められているわけでなく、著作者の個性が何らかの形で表現されていればよいとされています。 【参考裁判例】 ・交通安全スローガン事件(東京地判平成13年5月30日) ・ライントピックス事件(東京地裁平成16年3月24日) ・ラストメッセージin最終号事件(東京地判平成7年12月18日)
著作物と認められるためには、文芸・学術・美術・音楽の範囲に属するものでなくてはならず、この要件により、実用品のデザインが著作物から除外されることになります。もっとも、著作権法2条2項は、「この法律にいう「美術の著作物」には、美術工芸品を含むものとする。」と規定しているため、純粋美術自体を実用品に応用した純粋美術や美術の技法を一品製作品に応用した美術工芸品については著作権法の保護対象となります。また、美術の技法を量産品に応用したものであっても、美的鑑賞の対象となり純粋美術と同視しうるものについては、著作物性を肯定するのが現在までの裁判例の考え方です。
【参考裁判例】■著作物性を肯定した例・博多人形赤とんぼ事件 (長崎地佐世保支判昭和48年2月7日)・仏壇彫刻事件 (神戸地姫路支昭和54年7月9日)・アメリカTシャツ事件(東京地判昭和56年4月20日) ■著作物性を否定した例・木目化粧紙事件 (東京高判平成3年12月17日)・ファービー人形事件 (仙台高判平成14年7月9日)
※ タイプフェイスの著作物性タイプフェイスの著作物性に関して判例は、通常の著作物とは異なり、(1)独創性、(2)美的特性との2要件によって著作物性を判断するとの判断枠組みを用いています。
【参考裁判例】・モリサワタイプフェイス事件 (最判平成12年9月7日)
※ キャラクターの著作物性ミッキーマウスやポパイのような漫画キャラクターが、著作物と認められるかについては、見解の対立がありますが、判例は、キャラクター自体の著作物性を明確に否定しています。しかしながら、漫画の図柄自体は、美術の著作物として著作物性を有するものであり、他人の漫画の図柄を無断で利用した場合、著作権侵害が成立することになります。また、図柄の利用の成否を判断するにあたっては、どの場面の絵を複製したものであるかを特定する必要はないとされています。【参考裁判例】・ポパイネクタイ事件 (最判平成9年7月17日)
著作権法10条1項は、著作物を以下の通り例示列挙しています。
詩集、百科事典、新聞、雑誌のような編集物で素材の選び方や配列のしかたに創作性があるものは、収録されている素材とは別個の著作権が発生します。 【著作権法12条1項】 編集物・・・・でその素材の選択又は配列によって創作性を有するものは、著作物として保護する。 判例百選、職業別電話帳(タウンページ)のように素材の選択、配列に創作性を有する編集物については、著作物性が肯定されることになります。 一方、50音順電話帳(ハローページ)のようにデータを寄せ集めただけで、素材の選択、配列に創作性がないものは著作物とは認められません。
編集著作物の場合と同様、データベースに関しても、情報の選び方や体系的な構成のしかたに創作性があれば、著作権が発生します。 著作権法12条の2第1項データベースでその情報の選択又は体系的な構成によって創作性を有するものは、著作物として保護する。 職業別電話帳(タウンページ)のデータベースのように情報の選び方や体系的な構成に創作性を有するデータベースについては、著作物性が肯定されることになります。 一方、いかに情報が豊富であっても、情報の選択又は体系的な構成に創作性がないものは著作物とは認められません(もっとも、創作性のないデータベースでも、デッドコピーした場合には不法行為にあたる場合があります)。【参考裁判例】・翼システム事件(東京地中間判平成13年5月25日)
外国語の論文を日本語に翻訳した場合や小説を映画化した場合のように、ある著作物(原作)に新たな創作的価値を加えて作られた著作物には原作とは別個の著作権が発生します。このような著作物を二次的著作物といいます。 【著作権法2条1項11号】 二次的著作物 著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物をいう。 二次的著作物を創作する場合、原作の著作者の承諾が必要であり、無断でこれを行った場合、原作の著作権の侵害となります(著27条)。 また、二次的著作物を利用する場合、二次的著作物の著作権者の承諾のほか、原著作者の承諾も必要になります(著28条)。 【著作権法28条】 二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する。なお、二次的著作物の著作権は、二次的著作物において新たに付与された創作的部分にのみ生じ、原著作物と共通し、その実質を同じくする部分には生じないとされています。【参考裁判例】・ポパイネクタイ事件(最判平成9年7月17日)
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特許
実用新案
意匠
商標
著作権
その他
1.著作権の保護対象
1)著作物
著作権法の保護対象である「著作物」に関しては、著作権法上、次のように定義されています。
【著作権法2条1項1号】
著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
(1) 思想または感情
著作物と認められるためには、「思想または感情」が表現されたものでなくてはなりませんが、この要件については、人間の何らかの精神的活動があればよいという程度に緩やかに考えられています。この要件によって、「東京タワーの高さは333メートル」といったような単なるデータが著作物から除外されます。
(2) 表現
著作物と認められるためには、外部的に表現されている必要があり、表現のもとになっているアイデア自体は、著作権法では保護されません。
(3) 創作性
著作物と認められるためには、一定の創作性が必要となりますが、ここでいう創作性とは、特許の進歩性や意匠の創作非容易性のような高度の創作性が求められているわけでなく、著作者の個性が何らかの形で表現されていればよいとされています。
【参考裁判例】
・交通安全スローガン事件(東京地判平成13年5月30日)
・ライントピックス事件(東京地裁平成16年3月24日)
・ラストメッセージin最終号事件(東京地判平成7年12月18日)
(4) 文芸・学術・美術・音楽
著作物と認められるためには、文芸・学術・美術・音楽の範囲に属するものでなくてはならず、この要件により、実用品のデザインが著作物から除外されることになります。もっとも、著作権法2条2項は、「この法律にいう「美術の著作物」には、美術工芸品を含むものとする。」と規定しているため、純粋美術自体を実用品に応用した純粋美術や美術の技法を一品製作品に応用した美術工芸品については著作権法の保護対象となります。また、美術の技法を量産品に応用したものであっても、美的鑑賞の対象となり純粋美術と同視しうるものについては、著作物性を肯定するのが現在までの裁判例の考え方です。
【参考裁判例】
■著作物性を肯定した例
・博多人形赤とんぼ事件 (長崎地佐世保支判昭和48年2月7日)
・仏壇彫刻事件 (神戸地姫路支昭和54年7月9日)
・アメリカTシャツ事件(東京地判昭和56年4月20日)
■著作物性を否定した例
・木目化粧紙事件 (東京高判平成3年12月17日)
・ファービー人形事件 (仙台高判平成14年7月9日)
※ タイプフェイスの著作物性
タイプフェイスの著作物性に関して判例は、通常の著作物とは異なり、(1)独創性、(2)美的特性との2要件によって著作物性を判断するとの判断枠組みを用いています。
【参考裁判例】・モリサワタイプフェイス事件 (最判平成12年9月7日)
※ キャラクターの著作物性
ミッキーマウスやポパイのような漫画キャラクターが、著作物と認められるかについては、見解の対立がありますが、判例は、キャラクター自体の著作物性を明確に否定しています。しかしながら、漫画の図柄自体は、美術の著作物として著作物性を有するものであり、他人の漫画の図柄を無断で利用した場合、著作権侵害が成立することになります。また、図柄の利用の成否を判断するにあたっては、どの場面の絵を複製したものであるかを特定する必要はないとされています。
【参考裁判例】・ポパイネクタイ事件 (最判平成9年7月17日)
2)著作物の種類
(1) 一般の著作物
著作権法10条1項は、著作物を以下の通り例示列挙しています。
(2) 編集著作物
詩集、百科事典、新聞、雑誌のような編集物で素材の選び方や配列のしかたに創作性があるものは、収録されている素材とは別個の著作権が発生します。
【著作権法12条1項】
編集物・・・・でその素材の選択又は配列によって創作性を有するものは、著作物として保護する。
判例百選、職業別電話帳(タウンページ)のように素材の選択、配列に創作性を有する編集物については、著作物性が肯定されることになります。 一方、50音順電話帳(ハローページ)のようにデータを寄せ集めただけで、素材の選択、配列に創作性がないものは著作物とは認められません。
(3) データベースの著作物
編集著作物の場合と同様、データベースに関しても、情報の選び方や体系的な構成のしかたに創作性があれば、著作権が発生します。 著作権法12条の2第1項データベースでその情報の選択又は体系的な構成によって創作性を有するものは、著作物として保護する。 職業別電話帳(タウンページ)のデータベースのように情報の選び方や体系的な構成に創作性を有するデータベースについては、著作物性が肯定されることになります。 一方、いかに情報が豊富であっても、情報の選択又は体系的な構成に創作性がないものは著作物とは認められません(もっとも、創作性のないデータベースでも、デッドコピーした場合には不法行為にあたる場合があります)。
【参考裁判例】・翼システム事件(東京地中間判平成13年5月25日)
(4) 二次的著作物
外国語の論文を日本語に翻訳した場合や小説を映画化した場合のように、ある著作物(原作)に新たな創作的価値を加えて作られた著作物には原作とは別個の著作権が発生します。このような著作物を二次的著作物といいます。
【著作権法2条1項11号】
二次的著作物 著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物をいう。
二次的著作物を創作する場合、原作の著作者の承諾が必要であり、無断でこれを行った場合、原作の著作権の侵害となります(著27条)。 また、二次的著作物を利用する場合、二次的著作物の著作権者の承諾のほか、原著作者の承諾も必要になります(著28条)。
【著作権法28条】
二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する。
なお、二次的著作物の著作権は、二次的著作物において新たに付与された創作的部分にのみ生じ、原著作物と共通し、その実質を同じくする部分には生じないとされています。
【参考裁判例】・ポパイネクタイ事件(最判平成9年7月17日)
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