-その(4) ライセンス契約について-(7)
その他の知的財産法解説:目次
- はじめに ―法務部門開設の案内およびその趣旨
- なぜ、書面による取り決めが必要になるのか(概説説明)
- 契約の必要性について -秘密保持契約-
- 契約の必要性について -共同研究(開発)契約-
- 契約の必要性について -オプション契約-
- 契約の必要性について -共同出願取扱契約-
- 契約の必要性について -下請契約と製造委託契約の違いについて-
- ライセンス契約(特許およびノウハウ)について -その(1)
- ライセンス契約(特許およびノウハウ)について -その(2)
- ライセンス契約(特許およびノウハウ)について -その(3)
- ライセンス契約及び共同研究契約と独占禁止法との関連について-その(1)
- ライセンス契約及び共同研究契約と独占禁止法との関連について-その(2)
- ライセンス契約及び共同研究契約と独占禁止法との関連について-その(3)
- 国際契約を締結するにあたって法制上の留意点-その(1) 米国における契約の概念
- -その(2) 技術移転に対する規制
- -その(3) 秘密保持契約および共同研究開発契約について-(1)
- -その(3) 秘密保持契約および共同研究開発契約について-(2)
- -その(4) ライセンス契約について-(1)
- -その(4) ライセンス契約について-(2)
- -その(4) ライセンス契約について-(3)
- -その(4) ライセンス契約について-(4)
- -その(4) ライセンス契約について-(5)
- -その(4) ライセンス契約について-(6)
- -その(4) ライセンス契約について-(7)
- -その(4) ライセンス契約について-(8)
- 特許侵害訴訟(特に日米比較を中心)について-(1)
- 特許侵害訴訟(特に日米比較を中心)について-(2)
- 特許侵害訴訟(特に日米比較を中心)について-(3)
- 不正競争防止法について-(1)
- 不正競争防止法について-(2)
- 著作権について
(・江戸川大学安田教授の2014年度アンケート調査結果を参照)
ライセンサーは、以下の保証を必ずする義務を負わされていますので、保証しない場合には、商務部でチェックの対象となります。次の項で述べる制限条項の排除義務とあわせて、契約条項を検討する場合に注意をしてください。
日本と同様に独占禁止法関連(中国では契約法329条)の違反となるような以下の制限条項は規定できません。
日本の不正競争防止法に該当する「反不正当競争法」の10条に「営業秘密」に関する規定があり、それに違反する(営業秘密の漏洩、使用、他人に使用させること等)と、差止め、損害賠償、行政罰等の対象となるため、気をつけましょう。なお、2019年4月23日改正により、違反者が悪意をもって営業秘密係る侵害行為を実施し、情状が重大である場合には、従来の損害賠償額が高くなるように規定されていますので、十分注意をする必要があります。
中国における日本企業が設置した研究開発センターで発明等の技術が生じた場合に、当該技術を日本企業に移転する場合には、原則として「技術輸出」に該当するため、「技術輸出入契約管理条例」に基づく手続きが必要となります(自由技術に該当する場合には、商務部か当該センターが所属する地方機関に登録申請する)。
平成21年10月1日より特許法の一部が改正され、特許法20条で規定されていた、国内第一出願主義が排除されることになった。 このため、研究開発センターで生まれた発明を出願するにあたっては、日本を第一国として出願できるようになった。
中国における研究機関の権利所属については、最低限でも共同所有とする傾向が強まっています(中国側が日本企業の単独所有には応じないケースが多い)。ただ、共同所有となっても、注意しなければならないのは、最高人民院「技術契約紛争案件の審理に法律を適用する問題に関する解釈」の21条です。同条は、
→実施条件を具備していない大学等は第三者に1の通常実施権を付与する権限があり、共有者の権利である適法な自己実施と同視される。
(この章続く)