アイデアの着想から特許出願まで
特許制度のあらまし:目次
- 特許出願をする目的・利益および知財戦略
- 特許取得手続の流れ
- 特許が付与される発明
- (1)特許法上の「発明」であること(特許法第29条第1項柱書)
- (2) 産業上の利用性を有すること(特許法第29条第1項柱書)
- (3) 新規性を有すること(特許法第29条第1項)
- (4) 進歩性を有すること(特許法第29条第2項)
- (5) 先願の発明であること(特許法第39条)
- (6) 出願後に公開された先願の明細書に記載された発明ではないこと(特許法第29条の2)
- (7) 公序良俗等を害するおそれがないこと(特許法第32条)
- 先行技術調査
- アイデアの着想から特許出願まで
- 発明者の法的地位・共同発明の場合の注意点
- 1.発明者の法的地位・職務発明制度
- 2.共同発明の場合の注意点
- 新規性喪失の例外
- 1.発明の新規性喪失の例外規定(特許法第30条)について
- 2.発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるにあたり研究者が注意すべき事項
- 国内優先権制度の活用
- 1.国内優先権制度
- 2.国内優先権の要件
- 3.国内優先権の主張の効果
- 4.国内優先権制度の活用
- 5.国内優先権制度における留意点
- 特許出願の分割
- 出願公開および補償金請求権
- 出願審査請求、早期審査・スーパー早期審査・早期審理
- 拒絶理由通知・拒絶査定とその対応
- 特許取得・維持のための料金
- 特許異議の申立て制度
- 特許無効審判・侵害訴訟
- 海外での権利取得
3.バイオテクノロジー分野
1.バイオ分野の発明
遺伝子には、タンパク質をコードしている構造遺伝子、構造遺伝子の形質発現を調節する調節遺伝子、プライマー、mRNA、tRNA、rRNA、siRNA等、特定の配列をとることにより特徴付けられる種々の核酸分子が含まれます。
微生物に関する発明には、微生物自体の発明(環境から単離された微生物、組換え手段により作出された微生物などが)と、微生物の利用に関する発明(微生物による物質の製造方法、微生物による物の処理方法(例;水処理方法)、微生物からなる処理剤(例;土壌改善剤)など)があります。微生物には、酵母、カビ、キノコ、細菌、放線菌、ウイルス、動物細胞、植物細胞などが含まれます。
植物に関する発明には、交配育種により作出された植物、トランスジェニック植物、植物の作出方法などが含まれます。
動物に関する発明には、トランスジェニック動物、ノックイン/ノックアウト動物、これらの動物の作出方法などが含まれます。
2.特許出願にあたって
単なる着想や課題(願望)を提示しただけでは、特許を取得することはできません。特許出願するには、当業者(その分野の専門家)が実際に実施できる程度に、発明の技術内容が明確にされていることが必要です。また、新規性、進歩性のない特許出願を避けるために、出願前に発明と先行技術とを対比し、先行技術に対する構成上の差および効果の差を明確にすることが重要です。更に、広い権利を取得するには、発明の本質的部分を的確に見極め、本質的部分以外には不必要な限定をしないことが重要です。
3.微生物の寄託
明細書には、当業者が発明を実施できる程度に明確且つ十分に記載しなければなりません。しかしながら、例えば、特殊な環境から単離した新規微生物の発明の場合、その微生物の特徴や単離方法を詳細に記載しても、その微生物を容易に入手できないことがあります。また、微生物が産生する新規物質の発明の場合、その微生物を入手できなければ、その新規物質を製造できないことがあります。そこで、微生物自体の発明、新規微生物の利用に関する発明、微生物により生産される物質に関する発明などについて、明細書に、当業者がその微生物を容易に製造することができるようにその創製手段を記載することができない場合には、微生物を寄託し、明細書に受託番号を明示し、受託証の写しを願書に添付する必要があります。
Last Update: April 27, 2021
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