2.国内優先権の要件

(1)国内優先権の主張ができる者
 国内優先権を主張できる者は、特許を受けようとする者であって先の出願の出願人(承継人を含む)です。従って、先の出願の出願人と後の出願の出願人とが、後の出願の時点において同一であることが必要です。
 複数の出願人による出願(共同出願)の場合においても、先の出願の出願人と後の出願の出願人とは完全に一致していなければなりません。

(2)国内優先権主張出願ができる期間
 国内優先権の主張を伴う後の出願ができる期間(優先期間)は、先の出願の日から1年です。(ただし、先の出願の日から1年以上経過して後の出願を行った場合でも、後の出願を先の出願の日から1年以内にすることができなかったことについて「正当な理由」があり、かつ、先の出願の日から1年2月以内に後の出願をしたときは、例外的に国内優先権の主張ができます。しかしながら、「正当な理由」は必ずしも認められるわけではないため、先の出願の日から1年以内に後の出願をすることをお勧めします。)
 当所では、原則として、出願から数ヶ月後に、「国内優先権主張のお知らせ」を出願人様にお送りして、注意喚起させていただきます。

(3)国内優先権主張の基礎とすることができる先の出願
 先の出願は、次に掲げる(i)~(iv)のいずれかに該当する場合を除き、国内優先権の主張の基礎とすることができます。すなわち、(i)~(iv)のいずれかに該当する先の出願を基礎として国内優先権を主張することはできません。
 なお、国内優先権の主張の基礎とすることができる出願は、特許出願及び実用新案登録出願のみであって、意匠登録出願を国内優先権の主張の基礎とすることはできません。

 (i)先の出願が出願の分割に係る新たな出願、出願の変更に係る出願又は実用新案登録に基づく特許出願である場合
 (ii) 先の出願が国内優先権の主張を伴う後の出願の際に放棄され、取り下げられ、又は却下されている場合
 (iii)先の出願について、国内優先権の主張を伴う後の出願の際に、査定又は審決が確定している場合
 (iv)先の出願について、国内優先権の主張を伴う後の出願の際に、実用新案権の設定の登録がされている場合

 

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