商標権の侵害を発見したら、以下の措置を1つ、または複数とることが可能です。
商標権が侵害または侵害されるおそれがある場合に、侵害の停止、予防を請求することができます。それに際して侵害行為を組成した物やそれに供した設備の廃棄や除却を請求することもできます。侵害者に故意または過失があることは要件とされません。
故意または過失による侵害で生じた損害の賠償を請求することができます。他人の商標権または専用使用権を侵害した者は、過失があったものと推定されます。
侵害行為により商標権者の財産から利益を受けた者に対して、商標権者が被った損失を不当利得として返還請求することも可能です。
侵害により害された業務上の信用の回復に必要な措置(新聞等の謝罪広告、テレビにおける謝罪放送等)を命ずるよう裁判所に請求することができます。
故意による侵害については、刑事告訴により刑事上の責任を問うこともできます。
注: なお、2004年改正法において、商標権行使の制限について、以下のような新たな規定が設けられましたので、侵害行為に対応する場合にも注意が必要です。
i)侵害訴訟における権利行使の制限 侵害訴訟において、権利が無効審判により無効にされるべきものであると認められるときは、その権利行使ができません。ただし、当該主張が審理を不当に遅延させることを目的としてされたものと認められるときは、裁判所はこれを却下することができます。
ii)侵害訴訟と無効審判の進行調整 審判事件が係属している侵害訴訟において、権利が無効にされるべき旨の主張を記載した書面が提出された場合、裁判所は、特許庁長官にその旨を通知します。この場合において、特許庁長官は、裁判所に対し、訴訟記録のうち審判官が必要と認める書面の写しの送付を求めることができます。
侵害商品が海外から国内に輸入される場合や国内から海外へ輸出される場合、税関に対し侵害品の輸出入の差止申立てをすることができます。関税法において、商標権を侵害する物品は特許権、実用新案権、意匠権、著作権、著作隣接権や育成者権を侵害する貨物と同じく輸出入の禁制品とされているからです。(回路配置利用権は含まれません。) 従前、税関では関税法による知的財産侵害物品に対する輸出取締りができなかったのが、2006年改正で輸出に関しても取締ることができるようになりました。
・手続をしようとする者の住所(法人にあたっては主たる事務所所在地)を管轄する税関 ・侵害品の輸出入が予想される税関官署を管轄する税関 *複数の税関に手続を行う場合は、いずれかひとつの税関でよいとされています。
「輸出入差止申立書」を税関に対して提出します。 ・添付書類として、下記の書類が必要です。 ①委任状(弁理士を通じて手続を行う場合) ②登録原簿および公報 ③侵害物品のサンプル、写真、カタログまたはその物品を図示したもの/識別ポイント資料 ④その他、必要に応じて ・権利侵害を証明する裁判所の判決書 ・権利の効力についての特許庁の判定書がある場合はその写し ・弁理士や弁護士が作成した鑑定書、警告書 ・警告書または新聞等に注意喚起を行った広告等の写しなど、を提出します。
最長4年間ですが、更新することが可能です。 ただし、申立ての対象権利が、4年以内に満了する場合は、その権利の存続期間の最終日までとなります。
(注1)「輸入差止件数」は、税関が差し止めた知的財産侵害物品が含まれていた輸入申告又は郵 便物の数です。 「輸入差止点数」は、税関が差し止めた知的財産侵害物品の数です。 例えば、1件の輸入申告又は郵便物に、20点の知的財産侵害物品が含まれていた場合は、「1件20点」として計上しています。 (注2)「輸入差止価格」は、正規品であった場合の推計価格です。
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特許
実用新案
意匠
商標
著作権
その他
2.商標権侵害への対応のしかた
1)侵害に対する措置
商標権の侵害を発見したら、以下の措置を1つ、または複数とることが可能です。
(1)差止請求
商標権が侵害または侵害されるおそれがある場合に、侵害の停止、予防を請求することができます。それに際して侵害行為を組成した物やそれに供した設備の廃棄や除却を請求することもできます。侵害者に故意または過失があることは要件とされません。
(2)損害賠償請求
故意または過失による侵害で生じた損害の賠償を請求することができます。他人の商標権または専用使用権を侵害した者は、過失があったものと推定されます。
(3)不当利得返還請求
侵害行為により商標権者の財産から利益を受けた者に対して、商標権者が被った損失を不当利得として返還請求することも可能です。
(4)信用回復措置請求
侵害により害された業務上の信用の回復に必要な措置(新聞等の謝罪広告、テレビにおける謝罪放送等)を命ずるよう裁判所に請求することができます。
(5)刑事上の救済
故意による侵害については、刑事告訴により刑事上の責任を問うこともできます。
注:
なお、2004年改正法において、商標権行使の制限について、以下のような新たな規定が設けられましたので、侵害行為に対応する場合にも注意が必要です。
i)侵害訴訟における権利行使の制限
侵害訴訟において、権利が無効審判により無効にされるべきものであると認められるときは、その権利行使ができません。ただし、当該主張が審理を不当に遅延させることを目的としてされたものと認められるときは、裁判所はこれを却下することができます。
ii)侵害訴訟と無効審判の進行調整
審判事件が係属している侵害訴訟において、権利が無効にされるべき旨の主張を記載した書面が提出された場合、裁判所は、特許庁長官にその旨を通知します。この場合において、特許庁長官は、裁判所に対し、訴訟記録のうち審判官が必要と認める書面の写しの送付を求めることができます。
2)税関における輸出入差止(輸出入差止申立制度)
侵害商品が海外から国内に輸入される場合や国内から海外へ輸出される場合、税関に対し侵害品の輸出入の差止申立てをすることができます。関税法において、商標権を侵害する物品は特許権、実用新案権、意匠権、著作権、著作隣接権や育成者権を侵害する貨物と同じく輸出入の禁制品とされているからです。(回路配置利用権は含まれません。)
従前、税関では関税法による知的財産侵害物品に対する輸出取締りができなかったのが、2006年改正で輸出に関しても取締ることができるようになりました。
(1)手続先
・手続をしようとする者の住所(法人にあたっては主たる事務所所在地)を管轄する税関
・侵害品の輸出入が予想される税関官署を管轄する税関
*複数の税関に手続を行う場合は、いずれかひとつの税関でよいとされています。
(2)手続書類
「輸出入差止申立書」を税関に対して提出します。
・添付書類として、下記の書類が必要です。
①委任状(弁理士を通じて手続を行う場合)
②登録原簿および公報
③侵害物品のサンプル、写真、カタログまたはその物品を図示したもの/識別ポイント資料
④その他、必要に応じて
・権利侵害を証明する裁判所の判決書
・権利の効力についての特許庁の判定書がある場合はその写し
・弁理士や弁護士が作成した鑑定書、警告書
・警告書または新聞等に注意喚起を行った広告等の写しなど、を提出します。
(3)手続の有効期間
最長4年間ですが、更新することが可能です。
ただし、申立ての対象権利が、4年以内に満了する場合は、その権利の存続期間の最終日までとなります。
(4)税関における取締の内容
令和2年の税関における知的財産侵害物品の差止状況(詳細)
● 輸入差止点数は、589,219点(前年比42.2%減)でした。
● 1日平均で、82件、1,600点以上の知的財産侵害物品の輸入を差し止めていることになります。
● 輸入差止価額は、推計で約136億円に上ります。
(注1)「輸入差止件数」は、税関が差し止めた知的財産侵害物品が含まれていた輸入申告又は郵
便物の数です。
「輸入差止点数」は、税関が差し止めた知的財産侵害物品の数です。
例えば、1件の輸入申告又は郵便物に、20点の知的財産侵害物品が含まれていた場合は、「1件20点」として計上しています。
(注2)「輸入差止価格」は、正規品であった場合の推計価格です。
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