商標権の利用のしかた

1.譲渡

3)譲渡契約書作成にあたって注意すべき点

譲渡人側
Ⅰ) 自社において譲渡する商標と類似関係にある商標の商標権が存在しているか否かを確認すること
Ⅱ) 類似関係にある商標の商標権を複数所有しており、その登録商標の一つを使用しているとき、類似関係にある他の商標権を他社に譲渡しようとする場合には、その登録商標の自社の使用が阻害されない条項とすること、加えて混同防止表示を渡受人に義務づけること
Ⅲ) 他社と共有している商標権の自社の持分を譲渡するときには、共有者の同意を得ること
Ⅳ) 対価の額、並びに対価の支払い期限や支払方法を明確にすること
Ⅴ) 再譲渡、使用許諾等の許容の有無につき明確にすること
Ⅵ) 防護標章登録されている商標権を分割譲渡すると、全ての防護標章登録に基づく権利が消滅してしまうので避けること
譲受人側
Ⅰ) 譲受にかかる商標権が有効に存在しているかどうか、商標登録原簿で確認すること
国や地方公共団体などが商標登録している自己を表示する著名な商標権は譲り受けることができないので気をつけること
Ⅱ) 譲受にかかる商標権が無効理由を持たない適切な権利であることを確認すること
Ⅲ) 譲受にかかる商標権に何等の質権、使用権、抵当権等も設定されていないことの保証を得ること
Ⅳ) その商標権を譲り受けるだけで目的とする商標の使用ができるかどうかを調査すること(権利の抵触の調査)
Ⅴ) 特許庁に対する移転登録申請手続に必要な書類の作成義務を、その移転登録が完了するまで譲渡人に課すこと

*日頃から商標権の譲渡を予測されて社内管理を行われるべきです。譲渡交渉をうけられたときに、交渉対象の商標と自社の他の所有商標との類似関係を再調査されることがたいへん重要です。不用意な譲渡は、類似する自社商標の使用を不可能にしてしまう結果を招きかねないからです。

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