【インド】デリー高等裁判所内に知的財産部門(Intellectual Property Division:IPD)を設置

2021年10月

2021年7月7日、デリー高等裁判所は、知的財産権に係る紛争を専門に扱う部門であるIPDをデリー高等裁判所内に設置する旨を公表しました。
https://delhihighcourt.nic.in/writereaddata/Upload/PublicNotices/PublicNotice_4W1UGE3WNT9.PDF

背景
2021年4月4日、インド知的財産審判委員会(IPAB)の廃止を含む裁判所改革条例 (Tribunals Reforms Ordinance 2021) が、大統領令として公布・施行され、IPABが廃止されました。
詳細につきましては弊所知財トピックス2021年7月掲載分をご参照下さい。
https://www.saegusa-pat.co.jp/topics/9847/

これに伴い、すでにIPABに係属中の事件を含め、これまでIPABの管轄であった審判事件は、デリー高等裁判所、ボンベイ(ムンバイ)高等裁判所、マドラス高等裁判所、コルカタ高等裁判所、アーメダバード高等裁判所、及び商事裁判所が管轄することとなりました。
例えば、デリー高等裁判所にはIPABから約3,000件の事件が移管されるようです。

今後の動き
そこで、早期に紛争を解決することを目的とし、既にデリー高等裁判所に係属中の事件を含め、特許・商標等の侵害訴訟、無効訴訟、取消訴訟等の知的財産権に関するあらゆる紛争を扱う専門部門であるIPDを、デリー高等裁判所内に設置することが決定されました。現在、IPDの役割や早期に紛争を解決できる仕組みについて、包括的な規則が策定されている段階です。
現地代理人によりますと、デリー高等裁判所のIPDがうまく機能し、他の高等裁判所でも同様の仕組みが採用されることが期待されているようです。