【オーストラリア】オーストラリア連邦裁判所、AIを発明者と認める判決
2021年11月
2021年7月30日、オーストラリア連邦裁判所は、オーストラリア特許法において、AIも発明者となることができると判事しました。
判決文全文はこちらから入手できます。https://www.judgments.fedcourt.gov.au/judgments/Judgments/fca/single/2021/2021fca0879
背景
出願人は自らが開発したAI(DABUS)を発明者として国際特許出願(PCT出願)を行いました。このPCT出願が各国・地域に移行され、審査がなされています。
例えば、欧州特許庁(EPO)や米国特許商標庁(USPTO)は、発明者は自然人でなければならないとして出願を却下しました。
EPOの見解につきましては、以下のURLから弊所知財トピックス2020年5月掲載分をご参照下さい。
https://www.saegusa-pat.co.jp/topics/7946/
尚、日本国特許庁 (JPO) は、発明者の表示は、自然人に限られる旨の通知を公表しています。
https://www.jpo.go.jp/system/process/shutugan/hatsumei.html
オーストラリア特許庁も、同様に、AIは発明者とは認められないとして2021年2月に出願No. 2019363177を却下しました。これを不服とした出願人が連邦裁判所に控訴しました。
オーストラリア連邦裁判所の見解
オーストラリア連邦裁判所は主として以下の理由から、AIも発明者として認められるべきであると結論しました。
(1)発明者 (inventor)とは発明という動作を行う主体を表す動作主名詞(agent noun)であり、発明をする主体には人でも物でもなり得ること、(2)人が発明したとは言えないが、特許性のある発明が実際に多数存在すること、(3)オーストラリア特許法にはAI等を発明者から除外する条項はないこと。
オーストラリア特許庁はこの判決に対して控訴しており、AIが発明者になれるか否かの議論はまだ続きそうです。
尚、南アフリカでは対応出願に対して形式審査のみが行われ、すでに特許が付与されています。