【日本】政府、海外で軍事転用の恐れ等がある特許の非公開化を検討
2022年04月
日本国特許法は、発明公開の代償として特許権という独占排他権を付与するとしており、原則として出願から1年6ヶ月後にはすべての出願について、その内容が公開されます。そこで、政府は海外で軍事転用される可能性のある技術等、国の安全保障の観点から必要と認められた場合は、その特許出願の非公開化を可能とする法的整備を進めています(「経済安全保障推進法案」)。尚、先進7ヶ国(G7)で特許の非公開制度がないのは、現在、日本のみです。
1.「経済安全保障推進法案」とは
「経済安全保障推進法案」は、①「特許非公開」、②「サプライチェーン(供給網)の強靱(きょうじん)化」、③「基幹インフラの安全性確保」、④「重要技術の育成」の4つの柱からなり、日本の技術が海外で軍事転用されるリスクや、AI、量子暗号といった先端技術や重要インフラに関する情報漏洩リスクへの対応等を強化することを目的とするものです。
2.非公開の対象となる発明
非公開の対象となる発明については、当面は、AI、量子暗号、原子力など軍事転用の可能性が高い技術に関するものに限定される予定です。また、非公開対象となった発明については、原則として海外での特許出願が制限されます。
3.審査
非公開の対象とすべき発明か否かについての審査については、特許庁において技術分野等により件数を絞り込んだ上で、新設予定の専門的な審査部門が本審査を行う「二段階審査制」が採用される見通しです。
出典:経済安全保障法制に関する有識者会議(令和4年1月19日)
経済安全保障法制に関する提言骨子(特許出願の非公開化)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/keizai_anzen_hosyohousei/dai3/teigenkossi4.pdf