【欧州】欧州特許庁 (EPO)、審査ガイドライン(Guidelines for Examination)を改訂
2022年06月
2022年3月1日付けで、EPO改訂審査ガイドラインが施行されました。前回同様、今回の改訂でも、Part A ~ Hのすべてが改訂の対象となっています。
今回の改訂では、拡大審判部審決G 1/19(コンピュータ利用のシミュレーション自体が技術的課題を解決し得る旨)を反映した内容が追加されています(G-II, 3.3.2; G-VII, 5.4.1)。その他の主な改訂事項は以下の通りです。
1.明細書の補正(F-IV, 4.3)
2021年版の審査ガイドラインでは、「クレームの補正により、独立クレームに包含されなくなった実施形態は明細書から削除しなければならない。但し、当該実施形態が補正後のクレームのある側面を際立たせるのに有用であると合理的に認められる場合はこの限りでない」とされていました。
今回の改訂では、この基準が緩和され「補正により独立クレームの主題と整合しなくなった実施形態は明細書から削除、又は保護を求める主題に該当しない旨を明記しなければならない」となりました。
改訂審査ガイドラインには、クレームの主題と整合しないと判断される場合の具体例が示されています。
2.優先権の譲渡(A-III, 6.1)
優先権を有していない出願人が、優先権主張を伴う欧州特許(EP)を出願する場合は、欧州特許出願の日前に優先権の譲渡を受けなければ、優先権の利益を享受できません。
今回の改訂では、先の出願の出願人が複数の場合、その全員から優先権の譲渡を受けていなければならないことが明記されました。
3.部分優先 (F-VI, 1.5)
部分優先権の認定基準について、拡大審判部審決G1/15を取り入れた内容にアップデートされました。いわゆる「包括的ORクレーム(generic-OR claim)」の優先権認定のステップについての具体例が示されています。
拡大審判部審決G1/15の詳細につきましては弊所知財トピックス2017年1月掲載分をご参照ください。
https://www.saegusa-pat.co.jp/topics/3712/
改訂審査ガイドラインの全文は、以下のURLからご覧いただけます。
https://www.epo.org/law-practice/legal-texts/guidelines.html
また、変更点のリストは以下のURLからご覧いただけます。
https://documents.epo.org/projects/babylon/eponet.nsf/0/F7A1ECEC45FBC83AC12587D7005D968C/$File/epo_guidelines_for_examination_2022_list_of_amendments_draft_en.pdf