【日本】マルチマルチクレームの制限に関する審査基準の改訂‐2022年4月1日より適用
2022年07月
特許法施行規則及び実用新案法施行規則の一部を改正する省令が公布され、2022年4月1日以降の出願について、「他の二以上の請求項の記載を択一的に引用する請求項 (マルチクレーム)を引用するマルチクレーム (マルチマルチクレーム)」は、特許出願では拒絶理由 (特許法第36条第6項第4号) の対象に、実用新案登録出願では基礎的要件違反(実用新案法第6条の2)となることとなりました(特許法施行規則第24条の3第5号(新設)、実用新案法施行規則第4条第5号(新設))。
詳細は弊所知財トピックス2022年2月掲載分をご参照ください。
https://www.saegusa-pat.co.jp/topics/11470/
これに伴い、審査基準が以下のように改訂されました。
「第36条第6項第4号についての判断」において、「特許法施行規則第24条の3第5号違反について」の項目が追加され、拒絶理由の対象となるマルチマルチクレームの類型が4つ例示されています。
一例:
[請求項 1]特定構造のボールベアリング。
[請求項 2]内輪がステンレス鋼である請求項1記載のボールベアリング。
[請求項 3]外輪がステンレス鋼である請求項1又は2記載のボールベアリング。
[請求項 4]外輪の外側に環状緩衝体を設けた請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のボールベアリング。(下線は弊所で追加)
[請求項 5]前記環状緩衝体はゴムである請求項4記載のボールベアリング。
上記請求項のうち、請求項4は他の二以上の請求項の記載を択一的に引用する(上記アンダーライン部分)マルチクレームです。そして、請求項1又は2、つまり、他の二以上の請求項の記載を択一的に引用するマルチクレームである請求項3を引用していますので、請求項4はマルチマルチクレームに該当し、拒絶理由の対象となります。請求項5は、マルチマルチクレームには該当しませんが、マルチマルチクレームである請求項4を引用しているため、請求項4及び請求項5については、特許法第36条第6項第4号及び特許法施行規則第24条の3第5号以外の要件については審査されません。
改訂審査基準の全文については以下のURLをご参照ください。
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/tukujitu_kijun/kaitei2/multichecker_shinsa.html