【日本】民事裁判の手続きIT化-改正民事訴訟法が成立

2022年08月

日本政府は、かねてより民事裁判手続のIT化に取組んできました。これまでの背景等につきましては、弊所知財トピックス2020年2月掲載分をご参照ください。
https://www.saegusa-pat.co.jp/topics/7660/

1. 民事裁判手続きのIT化に向けた法改正
2022年5月18日、民事裁判手続きのIT化に向けた民事訴訟法の改正案が、参議院本会議で可決、成立しました。これにより、民事裁判での手続きは、2025年度までに段階的にIT化されることになります。

例えば、従来、裁判所への訴状や準備書面の提出は書面に限られていましたが、オンラインでの手続きが可能になり、さらに、弁護士などの代理人にはオンラインでの提出が義務づけられます。

また、口頭弁論を行う際は、ウェブ会議の活用を認めるとともに、証人尋問についても、裁判所や当事者が認めた場合、ウェブ会議を活用することが可能となります。これにより、当事者等が裁判所に出頭する必要がなくなり、負担の軽減が図られます。

2. ウェブ会議等のITツールを活用した争点整理手続の運用
法改正に先立ち、民事訴訟法改正の必要なくIT化を進められる事項につきましては、順次IT化が進められています。
例えば、2020年2月14日から、知的財産高等裁判所及び地方裁判所8庁(東京、大阪、名古屋、広島、福岡、仙台、札幌、高松)において、ウェブ会議等のITツールを活用した争点整理手続の運用が開始されており、2022年11月7日からは、全ての高等裁判所本庁・支部において同様の運用が開始される予定です。

3. 民事裁判書類電子提出システム(mints)の導入
mintsは、現行の民事訴訟法第132条の10等に基づき、裁判書類をオンラインで提出するためのシステムです。対象となるのは、準備書面、書証の写し、証拠説明書など、民事訴訟規則第3条1項によりファクシミリで提出することが許容されている書面です。2022年2月15日から、甲府地方裁判所本庁及び大津地方裁判所本庁において、民事裁判書類電子提出システム (mints) の試行運用が始まり、2022年4月21日より本格運用が開始されています。さらに、2022年5月10日より、知的財産高等裁判所と東京地方裁判所、大阪地方裁判所の一部でも試行運用が開始されています。

Mintsの主な機能等の情報につきましては、以下のURLをご参照ください。
https://www.courts.go.jp/saiban/online/mints/index.html