【インド】特許出願のクレーム補正要件を緩和する判例
2022年11月
これまで、インドでは、クレームの補正は、「非常に厳格に」出願当初のクレームの範囲内でしか認められませんでした(特許法セクション59(1))。
2022年7月5日、デリー高裁は、クレームの範囲を単に減縮する補正は、補正後のクレームに係る発明が出願当初のクレーム又は明細書に開示されている限り、認められるべきであり、補正前の発明と補正後の発明が同じである必要はないと判事しました。(C.A.(COMM.IPD-PAT)11/2022:NIPPON A&L INC. vs. The Controller of Patents)
1. 事件の概要
本件では、出願当初のクレームは「プロダクト・バイ・プロセス」形式で記載されていましたが、明確性要件違反の拒絶理由を解消するため、出願人(控訴人)はプロダクト・バイ・プロセス・クレームをプロセス・クレームに補正しました。
これに対し、コントローラーは、補正前のクレームはプロダクト・クレームであるのに対して、補正後のクレームはプロセス・クレームであるので、この補正は出願当初のクレームの範囲を超えるものであり認められないとしました。
これを不服として、控訴人が出訴したものです。
2. デリー高裁の見解
デリー高裁は、特に、付与前のクレーム又は明細書の補正は、出願当初の明細書又はクレームに記載の範囲内であり、その内容と矛盾していなければ、ことさらに厳格に解釈する必要はないとの見解を示しました。
この判決が今後のインド特許庁における審査にどれ程の影響を及ぼすのか、現在は不明ですが、これまでの杓子定規な解釈が改められることが期待されます。
NIPPON A&L INC. vs. The Controller of Patentsの判決文全文は以下のURLから入手できます。
http://164.100.69.66/jupload/dhc/PMS/judgement/06-07-2022/PMS05072022CAP112022_110420.pdf