【米国】USPTO、医薬品特許に関する開示義務および合理的な確認義務を明確化

2022年12月

2022年7月29日、米国特許商標庁(USPTO)は、「審査、再審査、再発行、および審判手続における開示および合理的な確認義務 “Duties of Disclosure and Reasonable Inquiry During Examination, Reexamination, and Reissue, and for Proceedings Before the Patent Trial and Appeal Board”」と題する通知を官報に掲載しました。
この通知は、USPTOや他の連邦機関への提出書面において、出願人等による、不適切で矛盾する記載を減らすことを目的としています。

1.開示義務
具体的には、出願人、発明者、代理人等の手続き当事者は、クレームされた発明の特許性について、他の政府機関(例えば、米国食品医薬品局:FDA)への提出物と矛盾する立場を取るべきではなく、これまでにUSPTOに提出した書面等に誤った記載や、他の政府機関に提出した書面と矛盾した記載があると気付いた場合は、速やかに訂正しなければなりません。
速やかに訂正しなかった場合、虚偽(fraud)、不公正な行為(inequitable conduct)等とみなされ、関連する特許クレームが無効になる可能性もあります。
また、審査官は、特許性に関して必ずしも重要ではない情報でも、審査等に役立つとの合理的根拠がある場合は、FDAなどの他の政府機関に提出された書面等の提出を求めることができます。

2.合理的な確認義務
また、手続き当事者は、その状況に応じて、合理的な確認を行う義務があります。具体的には、FDAを含む他の政府機関に提出、又は他の政府機関から受領した書面等をチェックし、USPTOに係属中の案件の特許性に重要な影響を与える情報が含まれているか否かを確認する必要があります。そして、重要な情報が含まれる場合、その情報をIDS(情報開示陳述書)として、USPTOに提出する義務を負います。

確認すべき書面の一例として、以下が挙げられますがこれらに限定されません。
・FDA またはその他の政府機関に提出された先行技術情報。例えば、治験用新薬申請 (IND)、新薬申請 (NDA)、生物製剤ライセンス申請 (BLA) 等 に含まれた先行技術情報。
・後発薬メーカーがFDAに簡略新薬承認申請(ANDA)する際に提出されるパラグラフIV証明書(特許権者にも通知されます)に記載された情報や文献。
・特許出願人が行った、市場調査、マーケティング、商品化活動等に関連する文献。

詳細につきましては連邦官報(Federal Register) の下記URLをご参照ください。
https://www.federalregister.gov/documents/2022/07/29/2022-16299/duties-of-disclosure-and-reasonable-inquiry-during-examination-reexamination-and-reissue-and-for