【メキシコ】自発的分割出願のできる時期についての判決

2023年01月

メキシコでは、2020年11月5日に知的財産法が改正されました(新法)。
詳細につきましては、弊所知財トピクス2021年2月掲載分をご参照ください。
https://www.saegusa-pat.co.jp/topics/9081/

1. 分割出願が可能な時期について新法と旧法の相違
分割出願が可能な時期について、新法では以下のように規定されています。
① 単一性違反の拒絶理由を解消するための分割出願は、拒絶理由通知の応答期間内。
② 自発的分割出願の場合は、親出願が特許庁に係属中(放棄・取下げ・最終的な拒絶前)又はNotice of Allowance(特許許可通知)発行後、特許料納付前。

一方で、旧法では自発的分割出願が可能な時期について明確な規定はなく、運用で、親出願の特許料納付前まで認められていました。
しかし、異なる巡回裁判所が異なる見解を示したため混乱を生じていました。

2. 今般の判決とその影響
2022年7月15日、第一地区本会議巡回裁判所 (PCCFD) は、旧法下での自発的分割出願の可能な時期は、「実体審査の終了前(Notice of Allowance発行前)」までと解すべきであると判示しました。
この判決に則って定められた基準 (PCCFD基準)は2022年8月1日から効力を有し、拘束力があることから、今後メキシコの裁判所は、同様の事件において、PCCFD 基準を採用しなければなりません。
但し、新法下での自発的分割出願には原則としてPCCFD基準は適用されません。
従いまして、親出願の出願日が2020年11月5日以降、つまり、新法施行日以降の場合は、親出願の係属中又は特許料の納付まで自発的分割出願が可能です。
一方で、親出願の出願日が2020年11月5日より前の場合は、自発的分割出願の可能な時期について、PCCFD基準が適用されるか否か疑義が残るようです。
そこで、安全サイドにたって、親出願の出願日が2020年11月5日より前の場合、自発的分割出願を希望される際は、Notice of Allowance発行までに出願されることをお勧めします。