【日本】JPO、拒絶理由通知書等の紙発送を廃止予定
2023年02月
日本国特許庁(JPO)は、かねてより拒絶理由通知書等のオンライン発送を実施し、オンライン発送できる書類の種類拡大に努めています。しかし、現行法上、オンライン発送は、出願人等が受け取らないと書類が到達せず発送の効力が発生しない不安定な仕組みとなっています。このため、現在、JPOはオンライン発送書類を一定期間受け取らない出願人等に対しては、送達の効力発生のため書類を紙媒体で発送しています。
ところが、リモートワークにより紙発送を受け取れない等の問題が生じています。
そこで、書面による発送のコスト削減や簡易・迅速な手続の実現等のため、JPOはオンライン発送制度の見直しを検討しています。
制度見直しの基本的方向性
1.対象書類
オンライン発送可能な書類(特許法令上「送達する書類」とされているもの以外の通知)
2.紙発送の廃止
JPOのサーバ格納後一定期間経過しても発送書類を受け取らない出願人等について、当該期間経過後に書類が到達したものとみなす制度を導入し、紙媒体での発送を廃止する。
具体的には、以下の3案が検討されています。
見直し案 | 出願人等への通知方法 | 書類の到達時期 |
案1 | 出願人等が出願ソフトを立ち上げた時に、JPOの受付サーバに発送書類が格納された旨の通知が送付される。 | 出願人等の電子計算機に備えられたファイルへの記録が完了した時、又はJPOの受付サーバに発送書類が格納された時から一定期間*経過した時、のいずれか早い時に、発送書類が出願人等に到達したものとみなす。 |
案2 | 出願人等がソフトを立ち上げた時に、発送件数等の通知はせずに自動的に発送書類が付される。 | |
案3 | JPOの受付サーバに発送書類が格納された(出願人等のファイルに記録が可能になった)旨、電子メールで通知される。 | 出願人等の電子計算機に備えられたファイルへの記録が完了した時、又はJPOの受付サーバに発送書類が格納された旨のメール通知を受けてから一定期間*経過した時、のいずれか早い時に、発送書類が出願人等に到達したものとみなす。 |
*一定期間は、「10開庁日」ではなく、「行政機関の休日に関する法律」に規定する休日を含む「10日間」とされる見込みです。
現在、意見募集が終了した段階で、まだ最終結論は出ていませんが、案1に決定される可能性が大きいようです。
この場合、休日を含む「10日間」で拒絶理由通知書等の書類が到達されたとみなされますので、年末年始等の長期休暇時には注意が必要です。新しい制度の運用開始時期は、2023年4月1日となる見込みです。
詳細につきましては、以下のURLをご参照ください。
「産業構造審議会知的財産分科会 第47回特許制度小委員会」資料
https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/tokkyo_shoi/document/47-shiryou/03.pdf
「知財活用促進に向けた特許制度の在り方(案)」P10-13
https://www.jpo.go.jp/news/public/iken/document/20221222_tokkyo-seido/01.pdf