2023年6月1日、UPC協定が発効し、欧州単一効特許（通称：Unitary Patent「単一特許」)と統一特許裁判所（Unified Patent Court: UPC）からなる欧州統一特許制度（UPC制度）の運用が開始されました。UPC協定は、現在批准している17のEU加盟国で効力を有します。

オプトアウト申請について
UPC制度開始前3ヶ月間のサンライズ期間中、オプトアウト申請を受け付けるためのシステム（Case Management System）へのアクセスが一時的に集中したこと等により多少のトラブルが発生したようですが、同期間中、約46万件のオプトアウト申請が無事に受理された模様です。
なお、サンライズ期間は終了しましたが、UPCに訴訟が提起されない限り、少なくとも今後7年間の移行期間中は、オプトアウトの申請が可能です。

中央部について
UPCのロンドン中央部（当初設置予定であったものの、EU離脱により実現せず）に割り当てを予定していた技術分野のうち、医薬品分野等を含むIPCセクション「A：生活必需品」はパリ中央部に、バイオ分野等を含むIPCセクション「C：化学、冶金」はミュンヘン中央部に、それぞれ割り当てられることになりました。
また、新たにミラノに第3の中央部を設置することが公表されています。ただし、ミラノ中央部にどの技術分野が割り当てられるかについては未定です。

UPCでの審理について
UPCでは、侵害訴訟・取消訴訟の両方について、出訴から12ヶ月以内の審理終結を目標としています。一旦訴訟が提起されますと、その後の書面提出期間は短く、迅速な判断と対応が必要です。