【台湾】知的財産案件審理に査証制度を導入-2023年8月施行予定

2023年06月

現在、台湾の裁判所において、知的財産関連事件は、主に、2008年に施行された「知的財産案件審理法」に則って審理されています。今般、「知的財産案件審理法」を大幅に刷新する改正法案が国会で成立し、2023年8月に施行が予定されています。主な改正点を、以下にまとめました。

1. 営業秘密の保護強化
秘密保持命令の申立人の範囲が拡大され、一定の条件が満たされれば、秘密所持者ではない当事者も、裁判所に対して、秘密保持命令の発令を申立てることが可能となります(第36条)。
また、秘密保持命令違反に対する罰則が強化されるほか、国外での秘密保持命令違反に対しても新たに罰則が設けられました(第72条)。

2. 弁護士による強制代理制度の新設
特定の知的財産民事事件(専利権、コンピュータプログラムの著作権、営業秘密に係る民事訴訟事件)については、必ず弁護士が代理しなければならない旨の規定が追加されました (第10条)。

3. 査証制度の導入
日本の特許法を参考に、特定の知的財産民事事件において、査証制度が導入されます。裁判所は当事者の申し立てにより、中立の技術専門家を査証人とし、証拠収集や調査を行うことができる旨の規定が追加されました。
また、査証人に関する各種規定が追加されました(第19条~第27条)。

4. 紛争の一回的解決
裁判所と知的財産局間の判断の不一致に起因する紛争の蒸し返しを防止するため、裁判所と知的財産局間の情報交換制度が導入される他、一定の条件下、再審請求を制限する規定が設けられました(第42条等)。

尚、改正知的財産案件審理法は、原則として施行日以降に裁判所に提訴された民事事件に適用されます。但し、当事者双方の合意があれば、すでに係属中の案件にも改正法を適用することが可能です。