【日本】オンライン発送制度の見直し-令和8年運用開始予定

2023年12月

日本国特許庁(JPO)は、かねてより拒絶理由通知書等のオンライン発送を実施し、オンライン発送できる書類の種類拡大に努めてきました。
詳細につきましては弊所知財トピックス2023年2月掲載分をご参照ください。
https://www.saegusa-pat.co.jp/topics/13235/

今般、オンライン発送制度の説明と運用開始予定が、JPOのウェブサイトに掲載されました。
https://www.jpo.go.jp/system/laws/sesaku/tetsuzuki/online-hasso_minaoshi.html

1. 不正競争防止法等の一部を改正する法律 (令和5年6月14日法律第51号)
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/hokaisei/sangyozaisan/fuseikyousou_2306.html
「不正競争防止法等の一部を改正する法律」が令和5年6月14日に法律第51号として公布されました。この法律において、工業所有権に関する手続等の特例に関する法律の一部が改正されています(以下、改正後の工業所有権に関する手続等の特例に関する法律を「改正特例法」と記載します。)
改正特例法第5条第3項第2号には、オンライン発送される特定通知等について、申請人がインターネット出願ソフトを用いて受取可能となった日から、申請人によって受け取られることなく10日*を経過した時に、申請人に到達したとみなすことが規定されています。このため、申請人に到達したとみなされた時点で発送日が確定します

*「10開庁日」ではなく、「行政機関の休日に関する法律」に規定する休日を含む「10日間」であることに注意が必要です。

2. 紙媒体発送の廃止
現在は、JPOのサーバ格納後一定期間経過しても発送書類を受け取らない出願人等に対して、紙媒体での発送が行われていますが、紙媒体の発送は廃止される予定です。

3.「10日を経過した時」の計算に算入しない期間
改正特例法第5条第4項には、申請人に責任のない事由(不責事由)によって、インターネット出願ソフトを用いて特定通知等を受け取ること(申請人の電子計算機のファイルへ記録すること)ができない期間は、改正特例法第5条第3項第2号に規定された10日の期間に算入しないことが規定されています。
不責事由による「申請人の電子計算機のファイルへの記録ができない期間」の例として、天災、特許庁のシステムメンテナンス、閉庁日におけるシステム閉塞(オンライン発送が行われない日)により申請人が特定通知等を受け取ることができない期間が挙げられています。

上記のとおり、申請人がインターネット出願ソフトを用いて受取可能となった日から申請人によって受け取られることなく10日を経過した時には、申請人に到達したとみなされます。ただし、特許庁の閉庁日は申請人が特定通知等を受け取ることができない期間として、10日には参入されません。このため、紙媒体での発送が廃止される他は、実質的な影響はないものと思われます。

4. 今後のスケジュール(予定)
令和7(2025)年12月:
 インターネット出願ソフトを用いて「特定通知等を受ける旨の届出」を提出するためのシステムリリースを予定
令和8(2026)年3月:
 オンライン発送制度の見直しに対応するシステムリリースを予定(実際のサービス開始は、関係法令の施行日となります)

なお、JPOによりますと、法令改正の検討状況により、システム開発内容や今後のスケジュールは変更される可能性があるようです。