【シンガポール】WIPO-シンガポールASEAN調停プログラム、初の調停成功

2024年03月

シンガポール政府と世界知的所有権機関(WIPO)は、その協力の一環としてASEAN調停プログラム(ASEAN Mediation Programme、AMP)を提供しています。このプログラムを利用することにより、ASEAN諸国の知財権紛争当事者は、WIPO仲裁調停センターのシンガポール事務所が管理する調停について、所定の資金援助を受けることが可能です。
AMPの詳細につきましては、WIPOの以下URLをご参照ください。
https://www.wipo.int/about-wipo/ja/offices/singapore/news/2023/news_0011.html

今般、AMPは、同族関係にある3つの事業者間の商標権紛争において、初めての調停に成功しました。
従来の訴訟では1~2年を要するところ、1日で和解契約が成立しましたので、紛争当事者は調停費用の助成によるコスト削減に加え、時間の節約というメリットも享受できました。
紛争当事者は当初、特に同族関係の歴史的背景から、それぞれの主張を固辞していたようですが、調停プロセスが進むにつれて、徐々に歩み寄りを見せた結果、解決に至りました。
調停では、調停人が重要な役割を果たします。当事者に、感情ではなく「現実の確認」を促すことで、前進しうる道筋の理解を助けます。
AMPでは、シンガポール知的財産局(IPOS)の「Young IP Mediator (若手知財調停人)」プログラムで任命された調停人が「シャドー・メディエーター(影の調停人)」として調停を傍聴することとなっています。これにより、AMPはシンガポールの調停人材の育成にも貢献しています。

今回の調停成功事例の詳細につきましは、IPOSの以下URLをご参照ください。
https://www.ipos.gov.sg/news/press-releases/ViewDetails/first-successful-mediation-under-wipo-singapore-asean-mediation