【日本】JPO、スタートアップに対するプッシュ型支援(PASS)の試行開始

2024年02月

日本国特許庁(JPO)は、令和6年度から「スタートアップに対するプッシュ型支援」(PASS : Push-type Assistance Service for Startups)を本格実施予定です。PASSの本格実施に先立ちまして、令和6年1月からその試行が開始されました。

1.スタートアップに対するプッシュ型支援(PASS)
「スタートアップに対するプッシュ型支援(PASS)」とは、JPOがスタートアップを知的財産の面から積極的にサポートする施策です。具体的には、例えば、JPO側から、対象の出願人又は代理人に対して、「スタートアップ対応面接活用早期審査」の活用を呼び掛け、審査スピード及び内容面での支援等を行います。
手順といたしましては、まず、中小スタートアップ企業(法人)を対象とした特許出願に係る出願審査請求料の減免を受けた出願人(特許法施行令第10条第5号ロの申請者)及びその代理人のうち、インターネット出願ソフトにE-mailアドレスが登録されている人を対象に、JPOから電子メールで案内が送付されます。そして、出願人等が「スタートアップ対応面接活用早期審査」を希望する場合には、例えば、電子メールに記載されたJPO担当者にその旨の返信又は電話連絡をすることで、早期審査に関する事情説明書を提出せずとも、簡易的に早期審査の適用を受けることができます。

2.「スタートアップ対応面接活用早期審査」
「スタートアップ対応面接活用早期審査」とは、実施関連出願について、特許審査の一次審査結果通知前に、特許審査官と面接を行うことにより、戦略的な特許権の取得、及び早期の特許権取得を可能とするプログラムです。
さらに、何よりも早く権利を取得したいという場合には、スーパー早期審査の利用をお勧めします。令和4年の実績では、スーパー早期審査利用の場合、一次審査までの平均期間は約0.9か月、最終処分までの平均期間は約 2.7か月でした。
尚、手数料は無料です。

1)対象
「スタートアップによる出願」であって、「実施関連出願」が対象です。
ここで、「スタートアップによる出願」とは、出願人の全部又は一部が次の①~③までのいずれかに該当する必要があります。

① その事業を開始した日以後10年を経過していない個人事業主
② 常時使用する従業員の数が20人(商業又はサービス業に属する事業を主たる事業として営む者にあっては5人)以下で設立後10年を経過しておらず、かつ、他の大企業に支配されていない法人(注1)
③ 資本金の額又は出資の総額が3億円以下で設立後10年を経過しておらず、かつ、他の大企業に支配されていない法人(注1)
注1:他の大企業に支配されていないこととは以下のa.及びb.に該当していることを指します。

a.申請人以外の単独の大企業(資本金額又は出資金額が3億円以下の法人以外の法人)が株式総数又は出資総額の1/2以上の株式又は出資金を有していないこと。
b.申請人以外の複数の大企業(資本金額又は出資金額が3億円以下の法人以外の法人)が共同で株式総数又は出資総額の2/3以上の株式又は出資金を有していないこと。

対象等の詳細につきましては、JPOの以下URLをご参照ください。
https://www.jpo.go.jp/system/patent/shinsa/soki/patent-venture-shien.html

その他のスタートアップ支援プログラムにつきましては、JPOの以下URLをご参照ください。
https://www.jpo.go.jp/support/startup/index.html