【韓国】特許法等の一部改正-懲罰的損害賠償額上限を5倍に引上

2024年06月NEW

特許権侵害行為及び営業秘密侵害行為に対する懲罰的損害賠償を強化する特許法の一部改正案と不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部改正案が、韓国国会の本会議で可決されました。

1. 改正の趣旨
現行法では、故意的な特許権侵害行為や営業秘密侵害行為等に対して、損害額の3倍を超えない範囲での損害賠償を認める、懲罰的損害賠償規定が設けられています。
しかし、技術盗⽤等が組織的、特に大企業により行われた場合、被害を受けた中小企業・スタートアップにとって、長い訴訟期間や訴訟費用等は大きな負担となるのに対して、損害賠償額や処罰が十分でないとの指摘がありました。
そこで、懲罰的損害賠償額の上限を引上げると共に、侵害行為を行った者の雇用主等の処罰を厳格化することにより、組織的な犯罪行為を抑制し、被害救済の実効性を確保するための改正が盛り込まれました。

2. 主な改正内容
① 他⼈の特許権⼜は専⽤実施権に対する侵害⾏為が故意であるものと認められる場合、
  懲罰的損害賠償額の上限が現行の3倍から5倍に引上げられます (特許法第128条8項)。
② アイデア奪取(盗用)及び営業秘密侵害⾏為が故意であるものと認められる場合、
  懲罰的損害賠償額の上限が現行の3倍から5倍に引上げられます (不正競争防止及び営業秘密保護に
  関する法律第14条の2第6項)。
③ 法⼈の代表者、代理⼈、使⽤⼈、その他の従業員が、その法⼈の業務に関して不正競争⾏為⼜は
  営業秘密侵害⾏為を行った場合、その法人の罰金刑の上限が現行の行為者と同額から行為者の3倍に
  引き上げられます (同法第19条)。

改正案は2024年2月20日に公布され、2024年8月21日に施行される予定です。