【インド】特許規則改正‐2024年3月15日施行(続報)
2024年04月
2024年3月15日、インド特許規則改正(Patents (Amendment) Rules, 2024:新規則)が公表され、同日施行されました。
以下URLの弊所知財トピックスにて速報版を掲載しております。
https://www.saegusa-pat.co.jp/topics/14854/
現地代理人からその後届いた情報を加筆して、以下にまとめました。但し、まだ不明な事項もあり、今後、特許庁から新たな説明や変更等が公表される可能性があるようです。
1. Form 27(実施報告書)
特許が付与された年の翌会計年度から、3会計年度に1度の提出が必要です。
特許付与日とForm 27の提出期限について、以下にまとめました。
特許付与日 | Form27提出期限 | 実施/不実施 報告対象年度 |
2022年4月1日以前 (2023年9月30日までにForm 27提出済の案件) |
2026年9月30日 |
2023年4月1日~2026年3月31日の3会計年度分 |
2022年4月1日~2023年3月31日 | 2026年9月30日 | 2023年4月1日~2026年3月31日の3会計年度分 |
2023年4月1日~2024年3月31日 | 2027年9月30日 | 2024年4月1日~2027年3月31日の3会計年度分 |
2024年4月1日~2025年3月31日 | 2028年9月30日 | 2025年4月1日~2028年3月31日の3会計年度分 |
(編集者注:この後、Form27の提出期限について、様々な解釈がなされ、大混乱状態に陥りましたが、2024年8月26日に、特許庁の正式見解が公表されました。
詳細につきましては、弊所知財トピックス8月掲載分
https://www.saegusa-pat.co.jp/topics/15675/
をご参照ください。)
関連する特許が複数ある場合、特許権者が同じであれば、1つのForm 27でまとめて提出可能です。特許権が共有に係る場合も、複数の特許権者が1つのForm 27でまとめて提出可能ですが、特許権者とライセンシーは、それぞれ別途に提出する必要があります。
新しいForm 27には、特許発明がインド国内で実施されているか否か、実施されていない場合はその理由、ライセンスが可能かどうかの記載が必要です。
インドにおける製造及び/又は輸入から生じる収益に関する情報や、実施に向けての対策の記載は不要となりました。
また、Form 4の提出と手数料(1ヶ月約120USドル)の支払いにより、最長3ヶ月までForm 27の提出期限延長が可能となりました(規則131条(2))。
2. 対応外国出願に関する情報提供
インドで特許出願する出願人は、自身が外国において出願した対応出願に関する事項についての陳述書(Form 3)を出願日から6ヶ月以内に提出しなければなりません(特許法第8条(1)(a)、規則12(1A))。この点には変更はありません。
特許法第8条(1)(b)に基づく、その後のForm 3の提出は、最初の審査報告書(First Examination Report) 発行日から3ヶ月以内のみとなりました(規則12(2))。
但し、審査段階で、Controllerから求めがあった場合は、2ヶ月以内にForm 3の提出が必要です(規則12(4))。
また、Form 4の提出と手数料(1ヶ月約120USドル)の支払いにより、最長3ヶ月までForm 3の提出期限延長が可能となりました(規則12(5))。
3. 自発的分割出願
新規則では、規則13(2A)の追加により、仮出願や完全出願の明細書の記載や、すでに出願された分割出願を基にした新たな分割出願が可能となりました。
4. 審査請求期限
旧規則では、審査請求期限は、最先の優先日から48ヶ月以内とされていたところ、新規則では、最先の優先日から31ヶ月以内に短縮されました。
新規則はインドでの出願日(PCT出願の場合はインド国内移行日)が2024年3月15日以降の出願について適用されます(規則24条B(1))。
但し、下記項目6の規則138条の適用により、手数料(1ヶ月約600USドル)の支払いにより、1回につき最長6ヶ月、期限満了前に手続きすることで何度でも延長が可能となり得ます(規則138条)。
5. 付与前・付与後異議申立
付与前異議申立には手数料(約250 USドル)の支払いが必要となりました。
付与前異議申立があった場合は、Controllerは異議理由の妥当性を検討し、出願に通知することが義務づけられました(規則55(3))。出願人は通知から2ヶ月以内に答弁書や証拠の提出が可能です(規則55(4))。異議申立人の希望により、聴聞の機会が与えられます(規則55(5A))。特許出願が維持可能であると判断された場合、当該出願は「迅速審査(規則24C)」の規定に基づいて審査されます(規則55(5B))。
付与後異議申立では、異議申立通知受領後、特許権者の答弁書提出期限が、旧規則の3ヶ月以内から2ヶ月以内に短縮されました(規則56(4))。
6. 期間の延長
旧規則では、国内段階移行期限等、一定の手続きは延長対象から除外されていましたが、新規則では、規則に定めるすべての手続きの指定期限は、Controllerによりその遅延及び延長を認められ得るとされています。
期限満了前までにForm 4の提出と手数料(1ヶ月約600USドル)の支払いにより、最長6ヶ月まで延長が可能で、延長された期限満了前までにさらにForm 4の提出と手数料の支払いにより、複数回の延長が可能です(規則138条:Power to extend time specified or condone delay)。
但し、現地代理人によりますと、この規定の解釈に、特許庁との齟齬が生じる恐れもありますで、期限内の手続きが奨励されます。
詳細につきましては、インド特許庁以下URLをご参照ください。
https://ipindia.gov.in/writereaddata/Portal/IPORule/1_83_1_Patent_Amendment_Rule_2024_Gazette_Copy.pdf