【米国】USPTO、特許権侵害の例外について意見募集‐2024年9月26日まで

2024年09月

米国特許商標庁(USPTO)は、2024年6月28日付の官報にて、特許権侵害の例外とされている特許発明の試験的な実施 (Experimental Use Exception:以下、試験的使用の例外と称します。) に関する意見募集を開始しました。
日本では、特許法第69条1項に、「試験又は研究」のためにする特許発明の実施には特許権の効力が及ばないことが規定されています。
一方、米国では、ジェネリック医薬品のFDA承認を受けるための試験については、いわゆるハッチ・ワックスマン法(Hatch-Waxman Act)で、特許権侵害にはならないと規定されていますが、その他の分野については、試験的使用の例外が主に判例に基づいて認められています。しかし、判例によれば、試験的使用の例外が極めて限定的に解釈されています。

今般、USPTOは、現状の把握及び法定の試験的使用の例外を設定する必要性などについて、広く一般の意見を募集することとしました。

具体的には、以下の質問に対する意見を募集しています。
1. 現行の試験的使用の例外の判例法理が投資や研究開発に与える影響。
全技術分野が質問対象であるが、特に、(a)量子コンピューティング、(b)人工知能、(c)その他のコンピュータ関連発明、(d)農業、(e)ライフサイエンス(処方薬や医療機器を含む)、(f)気候変動関連技術。
2. 現行の試験的使用の例外の判例法理により、負の影響を受けている技術分野の有無。有の場合、具体的な技術分野とその影響。
3. 法定の試験的使用の例外を設定する場合、新技術のイノベーションと商業化に与える影響。特に、(a)研究開発、(b)資金調達力、(c)投資戦略、(d)特許/特許出願のライセンス、(e)製品開発、(f)販売、(g)競争、(h)特許の執行と訴訟の観点について。
4. 現行の試験的使用の例外の判例法理が、特許出願、ライセンス、売買、特許/特許出願維持などの意思決定に与える影響。
5. 法定の試験的使用の例外を設定する必要性とその理由(根拠となる証拠やデータを明示のこと)。
6. 法定の試験的使用の例外を設定する場合、どのように定義すべきか。特許権が適切に保護されるために必要な制限や制約を含めて説明のこと。
7. 試験的使用の例外に関する現状を維持または変更することを支持する公共政策上の理由。
8. 特許発明の実験研究を最も強化促進するための追加的な提案。

詳細につきましては、以下URLから2024年6月28日付け官報をご参照ください。
https://www.federalregister.gov/documents/2024/06/28/2024-14164/experimental-use-exception-request-for-comments