【欧州】欧州特許庁審判部、審判手続に参加した第三者の地位について拡大審判部に質問を付託

2025年01月NEW

欧州特許庁(EPO)審判部は、技術審判部3.2.04が中間審決(T1286/2;「Skin cleanser」事件)において、以下の質問を拡大審判部に付託した旨公表しました。
https://www.epo.org/en/law-and-practice/boards-of-appeal/communications/referral-enlarged-board-appeal-g224-skin-cleanser

付託された質問
すべての審判請求が取り下げられた後、審判手続きに参加していた第三者は引き続き審判手続を続行できるか?
特に、その第三者は、欧州特許条約(EPC)第107条第1文にいう「審判を請求し得る者」に該当する地位を得ることができるか?

背景
EPOにおける異議申立手続では、侵害訴訟が提起された場合、または特許権者による侵害差止請求に応じて第三者が非侵害確認訴訟を提起した場合には、異議申立期間の経過後であっても、その第三者は異議申立手続に参加することが認められています(EPC第105条)。そして、その参加人は、異議申立手続の当事者となります(EPC第105条⑵)。EPC第105条⑵の規定では、異議申立人全てが異議申立を取り下げた場合でも、参加人は独立して異議申立手続を続行することが可能です。

しかし、審決G3/04において、EPO拡大審判部は、異議申立の決定に対する控訴審から参加した参加人は、すべての審判請求が取下げられた場合、独立して手続きを続行できない旨判示しました。

今般、EPO審判部は、EPC第112条に則り、審判手続における当事者の地位に関して、法律の統一的な適用を確保するために決定が必要であるとし、上記の質問を拡大審判部に付託しました。