【ユーラシア特許庁】ユーラシア特許条約規則改正
2017年04月
ユーラシア特許条約規則が改正され、2017年1月1日に発効しました。主な改正点は以下の通りです。
1.存続期間延長に対する異議申立制度が新設されました。
存続期間延長が、適法になされたものでないと認められる場合、対象特許が無効となった場合、又は、販売承認を受けた製品が対象特許の限定(limitation)により保護されなくなった場合に、何人も、存続期間延長に対する異議申立を行うことができるようになりました。異議申立は、存続期間が延長された旨の公報の発行日から延長後の存続期間の満了日までに行う必要があります(規則16(7))。
異議決定に不服のある場合は、異議決定書の発送日から4ヶ月以内に審判の請求が可能です。審判の結果は、ユーラシア特許庁長官により承認された後、最終処分とされます(規則16(8))。
2. 期限徒過の救済手続きに関する規定が新たに加わりました。
改正規則では、例えば、ロシア語の翻訳文提出(規則41(4))、審査手数料の支払い(規則46(2))、その他一定の手続きに関して、期間満了日から2ヶ月以内に、手数料と共に申請書を提出することにより、期限徒過による法的効果がなかったものとみなされ、手続きの続行が認められることになりました(規則37(2)(3)(4))。
また、出願人または特許権者の本拠、住所、居所を有する場所での戦争、革命、社会不安、ストライキ、自然災害、電子通信システムの全面的な機能不全、その他類似の理由により、ユーラシア出願又はユーラシア特許に関する手続きを期間内にすることができなかった場合、期間満了から6ヶ月以内にその理由と証拠とをユーラシア特許庁に提出し、その理由が認められたときは、期限徒過による法的効果はなかったものとみなされます(規則38(7))。
3.拒絶理由、異議理由(取消理由)及び無効理由に、開示不十分が追加されました。
当業者が実施できる程度に十分に発明が開示されていない場合、特許出願は拒絶され(規則47(3))、特許はユーラシア特許庁での異議申立手続きにおいて行政的に取り消され(規則53(2))、又は締約国内の無効手続により無効とされます(規則54(1))。
4.明細書等の補正の機会が増えました。
旧規則49(3)では、明細書等の補正は特許査定時または拒絶査定時までとされていましたが、改正規則49(3)の下では、査定後であっても、規則48(1)に定める拒絶査定不服審判、及び規則53(1)に定める異議申立への対応として、明細書等の補正が可能となりました。
但し、補正は、出願当初の明細書等の開示範囲を超えないものであり、かつ、発明の要旨を変更しないものに限られます(規則49(3))。
改正ユーラシア特許条約規則全文(英文)はこちらからご覧いただけます(改正箇所は太字で示されています)。