【欧州】欧州特許庁、2017年の年次報告書を公表-欧州特許出願件数は過去最高
2018年05月
欧州特許庁(EPO)は、2018年3月7日付で、同庁における2017年の年次報告書を公表しました。
その概要と詳細は、それぞれ、下記のURLからご覧になれます。
概要:https://www.epo.org/news-issues/news/2018/20180307.html
詳細:http://www.epo.org/about-us/annual-reports-statistics/annual-report/2017.html
主な内容は、次の通りです。
1.出願件数の動向
(1) EPOが実際に審査を行なう、欧州特許出願(European Patent Application)の件数は、過去最高の165,590件(対前年比3.9%増)を記録しました。
ここでの欧州特許出願の件数は、PCTルートではなく直接EPOに出願されたもの(68,081件)と、EPOへの広域段階移行手続がなされたPCT出願(97,509件)との合計です(以下の項目(2)及び(3)も同じ)。
(2) 欧州特許出願件数の上位10ヶ国は下表の通りです。
日本の出願人による欧州特許出願件数は、この数年、減少傾向が続いていましたが、2017年は前年比3.5%増の21,712件となりました。中国の出願人による出願件数は増加を続け、前年比で16.6%の大幅増となり、スイスの出願人を抜いて、上位5ヶ国入りしました。米国の出願人及び主な欧州諸国の出願人による出願件数も、それぞれ前年比で増加しています。上位10ヶ国の中では韓国の出願人による出願件数のみが、前年比減となりました。
国名 | 出願件数 | 前年比 |
1. 米国 | 42,300 | +5.8% |
2. ドイツ | 25,490 | +1.9% |
3. 日本 | 21,712 | +3.5% |
4. フランス | 10,559 | +0.5% |
5. 中国 | 8,330 | +16.6% |
6. スイス | 7,283 | +0.6% |
7. オランダ | 7,043 | +2.7% |
8. 韓国 | 6,261 | -8.2% |
9. 英国 | 5,313 | +2.4% |
10. イタリア | 4,352 | +4.3% |
(3) 企業別出願件数の上位10社は、下表の通りです。
企業名 | 出願件数 | 国/地域名 |
1. HUAWEI (ファーウェイ) | 2,398 | 中国 |
2. SIEMENS (シーメンス) | 2,220 | 欧州 |
3. LG (エルジー) | 2,056 | 韓国 |
4. SAMSUNG (サムスン) | 2,016 | 韓国 |
5. QUALCOMM (クアルコム) | 1,854 | 米国 |
6. ROYAL PHILIPS (フィリップス) | 1,733 | 欧州 |
7. UNITED TECHNOLOGIES (ユナイテッド・テクノロジーズ) | 1,719 | 米国 |
8. INTEL (インテル) | 1,435 | 米国 |
9. ROBERT BOSCH (ロバート・ボッシュ) | 1,412 | 欧州 |
10. ERICSSON (エリクソン) | 1,373 | 欧州 |
上位10社に、欧州4社、米国3社、韓国2社、中国1社が入りました。中国企業が1位になったのは、初めてのことです。日本企業は上位10社には入りませんでしたが、上位25社までに4社が入りました。
(4) 出願人の企業規模に関するEPOの分析によると、出願件数全体の69%が大企業によるものであり、24%が中小企業及び個人発明家によるものであり、7%が大学及び公共研究機関によるものでした。
なお、この評価は、2016年にEPOで処理された代表的なサンプル特許出願についてなされたものです。
2. 特許付与件数
特許付与件数は、過去最高を記録した前年の記録を塗り替え、105,635件(前年比10.1%増)となりました。
特許付与件数の上位10ヶ国は下表の通りです。中国が初めてランクインしました。
国名 | 特許付与件数 | 前年比 |
1. 米国 | 24,960 | +13.8% |
2. ドイツ | 18,813 | +0.5% |
3. 日本 | 17,660 | +14.7% |
4. フランス | 7,325 | +4.2% |
5. 韓国 | 4,435 | +38.2% |
6. スイス | 3,929 | +0.5% |
7. オランダ | 3,201 | +15.0% |
8. 中国 | 3,180 | +26.5% |
9. 英国 | 3,116 | +6.3% |
10. イタリア | 3,111 | -3.0% |
3. 生産性向上
EPOによれば、出願件数等の増加に対応して、品質と共に生産性も向上させたとのことです。その結果、EPOの先行技術調査、実体審査及び異議申立の処理件数は、4.6%増加し、合計約414,000件(2016年:約396,000件)を記録しました。このため、2015年1月から2017年12月までの未処理件数が27%減少しました。