【ブラジル】ブラジル国家衛生監督局(ANVISA)による事前承認不要分野を明確化
2018年08月
1.これまでの経緯
(1) ブラジルでは、医薬品及び医薬品の製造方法に関する特許の付与について、ANVISAによる事前承認が義務付けられています(産業財産法第229C条)。ANVISAは、ブラジルの公衆衛生にリスクを及ぼし得る製品等を規制するために設立された組織であり、ブラジル国内で、医療用具、医薬品、食料品、化粧品及び衛生用品等を販売するためには、ANVISA への事前登録が必要です。
(2) 医薬品関連特許出願に関しては、ブラジル知的財産庁(INPI)とANVISAによる重複審査や権限範囲を巡る対立に起因する審査遅延が問題となっていました。そこで、2017年4月12日、INPIとANVISAは、それぞれの権限範囲を明確にすると共に、医薬品及び医薬品の製造方法に関する特許出願の審査の流れを新たに定めた、共同規則01/2017に署名しました。
共同規則01/2017については、以下のURLをクリックして、2017年7月の当所ホームページ知財トピックスをご覧ください。
https://www.saegusa-pat.co.jp/topics/4192/
(3) その後、INPI及びANVISAの特許性の基準の調和を図る目的で、庁間連携グループ(GAI)が設立されました。
2.GAIでの決定
(1) 2018年5月24日、GAIは、INPI及びANVISAのスタッフ、産業界や知財弁護士の代表者等を集めて会合を開きました。その会合で、事前承認に関する2012年からの統計が発表され、その統計に基づき、下記の分野についてはANVISAの事前承認が不要(事前承認制度の範囲外)である旨の決定がなされました。
ANVISAの事前承認が不要である分野
・農薬
・動物用品
・食品
・2010年8月6日付決議第27号において、食品として分類されたもの
・1999年4月30日付決議第17号及び第18号において、食品として分類されたもの
・医療機器
・診断キット
・接着剤およびインプラント
・医薬品中間体の合成
・化粧品および衛生用品
(2) なお、審査官が、審査対象特許出願について事前承認が必要か否かの疑念を有する場合には、当該特許出願はANVISAの事前承認に送られます。