【ブラジル】予備審査パイロットプログラムを再開

2018年10月

ブラジル知的財産庁(INPI)は、2018年1月~3月に実施した予備審査パイロットプログラムの再開を公示しました。

1.2018年1月~3月に実施したパイロットプログラム
(1) INPIは、特許出願の実体審査促進のための試みとして、2018年1月から3月にかけて予備審査報告書を発行するパイロットプログラムを実施しました。このプログラムでは、各技術審査部門毎(合計20分野)に40件の特許出願が選択され、実体審査開始前に予備審査報告書が発行されました。この報告書には、対応外国出願の審査で引用された先行技術文献のみが記載され、審査官による拒絶理由等は示されませんでした。報告書を受領した出願人は、60日以内に、例えば、既に付与された対応外国特許に合わせてクレームを補正する、意見書を提出する等の対応が可能でした。

(2) INPIの報告によりますと、予備審査報告書の受領後、約22%の出願が放棄され、報告書に対応したうちの約56%において、欧州または米国の対応出願のクレームに合わせる補正がされました。

2.パイロットプログラムの再開
(1) INPIは、実体審査促進に向けて非常に有効な結果が得られたと考え、上記パイロットプログラムの再開を決定しました。なお、パイロットプログラムの期間については、公表されていません。

(2) 再開されるパイロットプログラムの詳細は、以下の通りです。
① 対象となる出願
2016年12月31日までに出願された特許出願全件が対象となります。ただし、対象となった出願全てに報告書が発行されるわけではありません。
② 報告書の発行
実体審査開始前に、対応外国出願(主にUS、EP、JP出願)の審査で引用された先行技術文献のみが記載された報告書が発行されます。
③ 報告書への応答例(これらに限定されません)
・対応外国出願で許可されたクレームに合わせる補正をする(義務ではありません)。
・先行技術文献に対して意見書を提出する。
・通常の実体審査を待つことを希望する旨の応答書を提出する。
④ 応答期限
報告書の公報掲載日から60日以内
⑤ 応答をしない場合
報告書に応答しなければ、出願が無効になり、これに対してはINPIに不服申立はできません。
⑥ 実体審査の開始
報告書への応答後に実体審査が開始されますので、報告書に応答することにより、特許が付与されるわけではありません。

なお、INPIは現在まで、報告書発行の対象となる出願の選択方法等の詳しい情報を公表していません。詳しい情報がわかりましたら、続報としてお知らせします。