【米国】米国特許商標庁(USPTO)、特許審判部(PTAB)でのクレ-ム解釈基準に関する規則改正を公表
2018年12月
USPTOは、権利化後のPTAB手続きにおけるクレーム解釈の基準を、連邦地方裁判所や国際貿易委員会(International Trade Commission: ITC)で採用されているPhillps基準(当業者にとって理解される通常の意味と審査経過を考慮した解釈)に一致させるための規則改正を公表しました。改正規則は、2018年11月13日に発効しました。
1. BRI基準とPhillps基準
これまで、PTABは、クレームを解釈する際、審査段階と同じBRI基準(最も広義で合理的な解釈)を採用してきました。BRI基準でクレームを解釈した場合には、Phillips基準でクレームを解釈した場合に比べて、クレームの文言が広く解釈される傾向があるため、より広い先行技術が含まれてしまい、結果としてクレームの特許性が否定される可能性が高くなります。そのため、連邦地方裁判所で有効とされた特許が、PTABで無効となるといった事態が生じていました。
このような状況下で、PTABで適用されるクレーム解釈の基準をPhillips基準に変更する規則改正案が公表されていました。
詳しくは、以下のURLから、2018年8月掲載の弊所知財トピックスをご覧下さい。
https://www.saegusa-pat.co.jp/topics/5391/
2. 規則改正の効果
今回の規則改正により、特許付与後のクレームの解釈には、一貫してPhillips基準が適用されることになります。また、改正規則には、民事訴訟又はITCでの手続きにおいて事前にクレーム解釈が行われている場合には、AIAレビュー手続きにおいて当該解釈を考慮するという内容が追加されています。これらにより、PTABと地裁のクレーム解釈基準が一致し、両者における一貫性のある審理結果が得られると期待できます。さらに、司法手続きの効率化や訴訟経済の負担軽減が期待されます。
なお、改正規則は2018年11月13日以降に申請されたIPR、PGR、CBMに適用され、遡及適用はされません。また、審査段階ではこれまで通り、BRI基準が適用されます。
規則改正についての官報(Federal Register)全文は、こちらのURLからご覧いただけます。
https://s3.amazonaws.com/public-inspection.federalregister.gov/2018-22006.pdf