【日本】最高裁が医薬品に関する特許権の存続期間の延長登録出願について判決
2016年01月
2015年11月17日に、最高裁判所は、医薬品に関する特許権の存続期間の延長登録出願に関して、特許庁の上告を棄却する旨の判決を言い渡しました(平成26年(行ヒ)第356号)。本裁判においては、先行する製造販売承認の対象となった医薬品と、成分及び効能・効果が同じ医薬品であっても、用法・用量を変更して医薬品の製造販売の承認事項の一部変更承認を得た場合に、その一部変更承認に基づいて存続期間の延長が認められるかが争われていました。最高裁判所は、出願理由処分(延長登録出願の理由となった医薬品の製造販売の承認)を受けることが特許発明の実施に必要であったか否か(特許法第67条の3第1項第1号)は,飽くまで先行処分と出願理由処分とを比較して判断すべきであり,特許発明の発明特定事項に該当する全ての事項によって判断すべきものではないこと、及び、その比較は医薬品としての実質的同一性に直接関わることとなる審査事項について行うことを明確にしました。その上で、本件延長登録は認められるべきと判断しました。現在、特許庁は、本判決を受けて「特許・実用新案審査基準第IX部特許権の存続期間の延長」の改訂を検討しており、改訂審査基準を、2016年春頃を目処に公表する予定です。また、特許庁は、先行する製造販売承認が存在する延長登録出願の審査の着手は、原則として、改訂審査基準の公表まで止めるとしています。