【WIPO】PCT協働調査試行プログラム-2019年4月1日より、日本語PCT国際出願も受入開始
2019年06月
欧州特許庁 (EPO)、 日本国特許庁 (JPO)、 韓国特許庁 (KIPO)、 中国国家知識産権局 (CNIPA)、 米国特許商標庁 (USPTO) の五大特許庁は、2018年7月1日より、PCT国際出願の国際調査を協働で行う試行プログラムを実施しています。
PCT協働調査では、PCT国際出願における質の高い成果物を作成することを目的として、一つのPCT出願について、主担当の特許庁が副担当の特許庁と協働し、特許可能性に関する判断を行い、最終的に一つの国際調査報告を作成し、出願人に提供します。
本試行プログラムの開始につきましては、弊所知財トピックス2018年7月掲載分でご紹介しております。
https://www.saegusa-pat.co.jp/topics/5243/
1. 日本語によるPCT国際出願の受入開始
これまで英語によるPCT国際出願のみが対象とされていましたが、2019年4月1日より、JPOは日本語によるPCT国際出願(以下、日本語特許出願)についても本試行プログラムの対象として受入を開始しました。
2. JPOを主担当庁とする場合の参加要件
本試行プログラムへの参加申請はオンライン出願と同時に行った場合にのみ認められます。その他の要件及び申請方法に関する詳細な情報につきましては、下記URLから入手できます。
https://www.jpo.go.jp/system/patent/pct/seido/pct_kyoudouchousa_shikou.html
3. 日本語特許出願の場合の留意事項
日本語特許出願の受入が開始されましたが、協働する他庁審査官の理解のため、明細書等の全文について、英訳文の提出が必要です*1。
本試行プログラムのための英訳文と、日本語特許出願を各庁へ国内・域内移行した際に提出する英訳文が一致している必要はありませんが、両者が一致していない場合、国際段階で示された各庁の見解と、国内・域内段階での各庁の見解が相違する可能性がある点にご留意ください。
また、英訳文の質が十分でなく、請求の範囲、明細書等が著しく不明確だった場合、協働する各庁が、請求の範囲、明細書等が明確でないことを理由に見解を作成しない可能性がある点にもご留意ください。
*1 所定の参加要件を満たすと判断された場合、JPOから出願人へ「仮受理」の通知が送付されます。仮受理の通知日から1月以内に、明細書等の英訳文の提出が必要です。その後、「正式に受理」するか否かを判断した結果が届きます。なお、参加が受け付けられなかった場合については、該当する出願は通常のPCT国際出願として調査が行われます。