【台湾】医薬品パテントリンケージ制度施行 (施行日: 2019年8月20日)

2019年10月

「医薬品のパテントリンケージ」は、ジェネリック医薬品 (後発医薬品) の承認申請の際に、先発医薬品メーカーとの事前調整などにより、先発医薬品に係る特許権の侵害を回避する制度です。当該制度は、ジェネリック医薬品の販売後に、特許権侵害訴訟等により、製品の安定供給が損なわれるリスクを軽減することを主な目的としています。

台湾では、2018年1月31日付けで公布された改正薬事法において、「医薬品のパテントリンケージ」に係る規定が新設されました。当該医薬品のパテントリンケージ制度に関する規定は2019年8月20日に施行されました。

これに先立ち、2019年7月1日には、パテントリンケージ制度の実施に向け、台湾衛生福利部 (Ministry of Health and Welfare) の食品薬物管理署 (Taiwan Food and Drug Administration: TFDA) より、「医薬品パテントリンケージ施行規則」が公告されました。当該規則は、医薬品のパテントリンケージ制度の詳細(先発医薬品特許情報の提出方法等)について規定しています。また、後発バイオ医薬品 (バイオシミラー) もパテントリンケージ制度の対象となることを明記しています。

台湾におけるパテントリンケージ制度の概要は以下の通りです。

1.新薬に関する特許情報の開示と登録
新薬許可証の所有者は、許可証を取得した翌日から45日以内に、中央衛生主務官庁に対して、当該新薬の特許情報(新薬に関連する物質、組成物、配合、又は医薬用途等)を提出する必要があります。これらの情報は、パテントリンケージ登録システムに登録されます。
また、パテントリンケージ制度の施行日より前に新薬許可証が発行されていた場合は、2019年11月20日まで(施行日である2019年8月20日から3ヶ月以内)に、新薬の特許情報を提出しなければなりません。

2.ジェネリック医薬品の承認申請 (ANDA)
ANDA の申請者は、申請の際に、その基となる新薬に係る特許について、次のいずれかを申告しなければなりません。
① 新薬に関する如何なる特許情報も申告されていない。
② 新薬の特許権が既に消滅した。
③ 新薬の特許権が消滅した後に、ジェネリック医薬品製造承認の発行を求める。
④ 新薬の特許権は取り消されるべきものである、又は当該特許権を侵害していない。

3.特許権者の対応
上記④の申告がなされた旨の通知を受けた特許権者が、当該通知書の受領日から45日以内に特許侵害訴訟を提起した場合、TFDAは、通知書の受領日から12ヶ月間は、ANDAの承認を停止します。但し、非侵害判決があったとき、又は特許無効審決があったときはこの停止期間は終了します。

4.独占販売期間
最も早く④の申告を行い、全ての申請書類を提出したANDA申請者(ジェネリック医薬品メーカー)に、12ヶ月の独占販売期間が与えられます。