【欧州】欧州特許庁(EPO)、人工知能(AI)を発明者とする特許出願を却下
2020年05月
EPOは、「発明者は機械ではなく人間でなければならない」として、AIを発明者とする2件の特許出願(EP18275163及びEP18275174)を却下する決定を下しました。
2件の出願書類には、出願人が開発したAIの名前(DABUS)が発明者として記載されていました。出願人はDABUSの所有者として、DABUSが創作した知的財産にかかる権利を承継したと主張していました。
しかし、EPOは、却下決定(2020年1月28日付け)の理由において、「欧州特許制度の法的枠組を解釈するに、欧州特許における発明者は自然人でなければならないとの結論に至る」との見解を示しました。
EPOの見解は具体的には概ね以下の通りです。
・出願書類において発明者を特定することは、それが一連の法的効果をもたらすものであるため必須であり、特に、適法な発明者を特定することにより、特定された発明者が発明者の地位に紐付く権利を享受できるようにする必要がある。
・発明者に与えられる当該権利を享受するためには、発明者は、権利義務の主体となり得る人格を有していなければならず、AIや機械はこれに該当しない。
・したがって、AIに名前をつけただけでは、上記の要件を満たさない。
尚、現在、2件の出願は審判部に係属中です。
EPOの「却下決定の理由」全文は下記URLから入手できます。
https://www.epo.org/news-issues/news/2020/20200128.html