【中国】最高裁知財法廷が2019年度の統計を公表
2020年09月
2019年1月に、最高裁に知財法廷が設置され、特許等の技術専門性が高い分野の民事事件・行政事件の二審が最高裁に一元化されました。今般、その最高裁知財法廷より2019年度の統計が公表されました。
統計によりますと、各種技術系知的財産事件の総受理件数は1,945件 (民事二審962件、行政二審241件、管轄権の異議に係る上訴事件481件、その他の類型事件261件)でした。総受理件数のうち、1,433件は終結しており、年度内の終結率は73.7%でした。裁判官一人当たりの処理件数は39.2件でした。
終結した1,433件の内訳は民事二審586件、行政二審142件、管轄権の異議に係る上訴事件446件、その他の類型の事件259件でした。平均審理期間は、民事二審で73日、管轄権の異議事件で29.4日でした。
以上を表にまとめると、以下の通りです。
管理件数及び割合 | 結審件数及び割合 | 平均審査周期 | |
民事二審 | 962件(49.5%) | 586件(40.9%) | 73日 |
行政二審 | 241件(12.4%) | 142件(10.0%) | — |
管轄権異議 | 481件(24.7%) | 446件(31.1%) | 29.4日 |
その他 | 261件(13.4%) | 259件(18.0%) | — |
合計 | 1,945件 | 1,433件 |
民事二審 (962件) の中では、実用新案権侵害訴訟が454件 (47.2%) で最も多く、特許権侵害訴訟の234件 (24.3%)、ソフトウェア関連訴訟の142件 (14.8%) がこれに続いています。
行政二審 (241件) の中では、特許無効審決の審決取消訴訟が80件 (33.2%) で最も多く、特許拒絶査定不服審判の審決取消訴訟が71件 (29.5%)、実用新案無効審判の審決取消訴訟の57件 (23.7%) がこれに続いています。
終結した民事二審の586件のうち、一審判決を維持した案件は236件、取下げの案件は213件、調停で終結した案件は71件、差戻し再審理及び原判決変更によって終結した案件は66件でした。
終結した行政二審の142件のうち、一審判決を維持した案件は126件、訴えの取下げにより終結した案件は11件、原判決変更によって終結した案件は5件でした。
現地代理人の情報によりますと、2019年における技術系知的財産裁判では以下の特が見られました。
特許民事事件
・請求項の解釈が中心的な問題となり、均等侵害の適用が重要な争点となっている。
特許行政事件
・技術分野として機械分野の案件数が全体的に一番多いが、無効審判においては電子電気分野と機械分野が共に多い。
・化学分野の無効審判案件は、医薬とバイオテクノロジーに集中している。
・進歩性判断が中心的な問題となっている。